初めて参列するお葬式は不安だらけ。特に、最初の受付はどうしたらいいのか悩まれる人も多いのではないでしょうか。
お葬式によっては受付がない場合もあり、受付がある時とは香典の渡し方に関するマナーも変わります。
今回の記事では、この香典の渡し方について、受付がある場合・ない場合も含めて徹底解説していきます。初めての人はもちろんのこと、今までなんとなくで流していた人も是非ご参考にしてみてください。
最低限のマナー!袱紗は持っている?
年齢層が低くなるほど袱紗を使用しなくなっていますが、お葬式のような弔事でも、結婚式のような慶事でも、袱紗を使うのは最低限のマナーです。
最近では色だけではなく、柄や形状もたくさんの種類が販売されるようになり、オシャレ感覚で楽しむことができるものもあります。お葬式の場面ではあまり派手なものやオシャレなものは使えませんが、無難な一色を持っておくことで社会人としての最低限のマナーを守る事ができます。
正式な袱紗は包み方などの手順も覚える必要がありますが、最初の一つとしては「封筒型」のものを準備しておくと、簡単に使う事ができるのでおすすめです。
もし急なお葬式で袱紗を準備する事ができない場合は、無地の大きめのハンカチなどでも代用する事ができます。100円均一やコンビニでも購入する事ができますので、必ず使うようにしましょう。
【受付があるとき】香典を渡すときの流れとマナー
斎場で行われるお葬式の場合は受付が用意されているので、受付の方に参列に来たことを伝えることで、その後の案内をしてもらいます。
ですが、普段から受付をしている人が受付係をしている訳ではなく、多くの場合が遺族の方が受付をされていますので、必ずしも案内がスムーズとは限りません。
初めてお葬式に参列する際は、あらかじめ受付の流れを把握しておくことで、余計な不安なく故人を弔うことができます。
香典の渡し方①まずは挨拶と受付
受付に着いたら、まずはお悔やみの言葉と一礼をします。
受付係によっては、誰が参列者で誰が斎場の関係者なのかなどの判断ができないこともありますので、しっかりと挨拶をすることで「自分が参列者である」ということを伝えるようにしましょう。
挨拶が終わると、受付係の人が芳名帳への記帳などの案内をしてくれるので、案内に従います。
挨拶(お悔やみの言葉)の例文
基本的に受付係は故人の親族の方が担当します。重ね言葉や直接的な表現を避け、失礼のないような言葉選びをしましょう。
一般的な挨拶としては次のようなものがあげられます。
- この度はご愁傷様でございます。
- 心よりお悔やみ申し上げます。
お悔やみの言葉にも地域性などのマナーがありますが、上記の言葉であればどのような場面でも使えるお悔やみの言葉です。
もし上記以外の言葉を挨拶にする場合は、次のような「忌み言葉」を使わないように注意しましょう。
重ね言葉 | 不幸が何度も訪れることを意味するような「重なり」や「連続」を意味する言葉 例:) 重ね重ね / たびたび / くれぐれも / しばしば / また / 追って |
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直接的な言葉 | 「死」などの直接的な言葉や、死因を聞く言葉 例:) 死亡 / 逝去 / 自殺 / 死因 / 存命中 |
不適切な表現 | 若者言葉や略語、マイナスな表現 例:) やばい / ぶっちゃけ / 頼りない / 頑固 |
仏式葬儀 の忌み言葉 | ほとんどのお葬式は仏式で行われるので、このような言葉は使わないようにします 浮かばれない / 浮かばれぬ / 迷う |
神式・キリスト教 の忌み言葉 | 神式・キリスト教のお葬式では、仏教に関する言葉は使わないようにします 成仏してください / 供養 / 冥福 / 往生 |
少し気をつけていれば忌み言葉は使わずに挨拶ができると思います。
受付の人が仲のいい人や知っている人だと、つい遠慮がなくなってしまい「迷ってちょっと遅くなって・・・」などつい忌み言葉を使ってしまうこともあるかもしれません。
受付の人が知っている人だとしても、お葬式の場所では個人的な会話などは控えるようにしましょう。
芳名帳への記入方法
芳名帳はお葬式に誰が参列したのかを把握するための受付帳です。芳名帳には自分の「名前」と「住所」を記入しますが、代理で参列する時は自分の名前ではなく代理を依頼した人の名前と住所を記入します。
上司などの代理として参列 | 上司の名前と住所を書き、その下に(代)と記入し、自分の名前を小さく記入します。 |
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会社の代表として参列 | 会社として参列する場合は、住所は会社の住所、名前は会社名と自分の名前を記入します。 |
夫婦連名で参列 | 夫婦連名で参列する場合、夫の名前をフルネームでかき、その横に妻の名前だけを記入します。夫婦で別々に書いても問題はありませんが、受付係に確認をしましょう。 |
夫の代理として参列 | 夫の代理として妻が参列する場合、夫の名前を書き、その下に(内)と記入します。 |
連名の代表として参列 | 連名の代表として参列する場合、参列した代表者の名前と住所を記入します。 |
芳名帳には一般的な縦書きのものから、横書きのもの、カード形式のものなど様々なタイプのものがあります。上記の表は縦書きの書き方なので、横書きの場合は(代)や(内)は下ではなく横に書きます。
カードタイプの芳名帳であれば、誰の代理人かを書く欄なども用意されていることがあります。その場合は形式に従って書くようにしましょう。
受付で名刺を渡す場合
代理での参列の場合や、会社関係の方のお葬式に参列するときは自分の身分を明かすための名刺や、代理の名刺を渡すことがあります。
受付係に渡す名刺には右上に「弔」もしくは「代」の文字を記入します。
弔 | 代表者の名刺に記入。 自分が代表者の場合は自分の名刺、誰かの代理の時は本人の名刺に記入します。 |
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代 | 代理人の名刺に記入。 自分が代理人の場合は自分の名刺、誰かに代理を依頼するときは自分の名刺に「弔」を書いて渡しておきましょう。 |
香典の渡し方②用意した香典を受付係に渡す
香典を持参するときには、必ず袱紗に入れて持参します。
受付係に渡すときは袱紗からだし、袱紗の上に香典をのせ、香典の表書き(名前)が相手に向くようにして両手で渡します。必ず「御霊前にお供えください」など一言添えて渡しましょう。
袱紗には「風呂敷(正式なもの)」「台付き」「封筒(金封)型」の3種類があり、それぞれ出し方が少し異なりますので、ご自身の用意した袱紗のマナーを確認しておきましょう。
正式な袱紗(風呂敷タイプのもの)の出し方
- 袱紗が左向きに開けられるように右手の上に乗せる
- 左手で袱紗を順番に開き、開いた部分は垂らしたままにせず袱紗の下に入るように折り返す
- 袱紗を出したら表書き(名前)が相手側に向くように反時計回りで向きを変えて渡す
受付は後ろにも人が並んでいますが、慌てずに丁寧に行います。緊張しやすい人や初めての人は、あらかじめ自宅で練習しておくようにしましょう。
台付袱紗の出し方
台付袱紗の出し方は、基本的には正式な袱紗(風呂敷)と同じです。
香典を取り出した後に袱紗を受付の机に置く場合は、袱紗から台を取り外し、台をお盆がわりにして渡すようにしましょう。
封筒型(金封)袱紗の出し方
金封タイプと呼ばれる封筒型の袱紗の場合、袱紗自体に硬さがあり、開けばすぐに香典を取り出せるようになっています。
袱紗を受付の机に置くことはせず、袱紗をお盆がわりにして渡すようにしましょう。
- 左開きになるように右手に袱紗をおく
- 左手で袱紗を開き、香典を取り出す
- 袱紗を閉じてから香典を袱紗の上に乗せ、反時計回りに方向を変えて渡す
【受付がないとき】香典を渡すときの流れとマナー
葬儀場で行われるお葬式の場合は基本的に受付がありますが、自宅葬や弔問時に香典を渡すときには受付がないので、直接喪主(もしくは遺族)に手渡します。
基本的な作法は同じですが、ここではシーン別に必要になる注意点について解説していきます。
故人のご自宅で渡すとき
自宅葬の場合、基本的に受付はありません。受付がない自宅葬の場合や、お葬式やお通夜以外の弔問時に渡す時は大きく2パターンあります。(受付がある場合は受付に渡しましょう)
喪主に直接渡す場合
自宅葬の場合は参列者が少ないことが多いので、誰が喪主かも一目でわかることがほとんどです。もし喪主がわからない場合やお声がけをするタイミングが取れない場合は、しきり役の方などに声をかけるようにしましょう。
渡し方のマナーとしては、葬儀場で受付に渡す時と同じです。
- お悔やみの言葉(喪主と初めて会う時は自分の身分を伝える)
- 袱紗から出す
- 「御霊前にお供えください」と一言添えて香典を渡す
仏前に供える場合
自宅葬でもある程度の参列者がいる場合や、弔問の時などは仏前に直接供えます。仏前に供える前に必ず遺族の方へ挨拶をしましょう。
仏前に供える時は、香典の向きは自分に向くようにして備えます。(表書きや名前が自分の方から読めるように)
郵送で渡すとき
遠方に住んでいる場合は、お通夜やお葬式にも参列できず、弔問するにもすぐには時間を作ることが難しい場合があります。このような場合は香典を郵送で送りましょう。
郵送で送るときにも香典袋に包み、現金書留で郵送します。現金書留の封筒にも名前や住所は書きますが、香典袋にも通常と同じように名前や住所、金額をきちんと書きましょう。
また、現金書留には手紙を同封することができます。
お葬式から時間が経ち過ぎてしまうと次の法要(四十九日)などがあり、遺族が香典返しに困ってしまいますので、お葬式から3日以内には届くようにします。
香典を渡す必要がないときは?
お通夜ですでに渡している場合や、家族葬などで香典を辞退されている場合があり、必ずしも香典が必要とは限りません。
香典をすでに渡してあるとき
お通夜とお葬式の両方に参列する場合、お通夜前の弔問ですでに香典を渡してある場合は、香典は必要ありません。
お葬式などの弔事では「重なる」ことをタブーとしています。これは不幸が重なって起きるということを意味するためです。そのため、香典を2回渡してしまうこともマナー違反となります。
香典をすでに渡してある場合は、受付の際「香典は渡してあります」と一言伝えるようにしましょう。
香典を辞退されているとき
お葬式の縮小化に伴い、参列者と喪主両方の負担を減らすために、香典を辞退されることが多くなってきています。
参列する側としては、香典は持参するのが当たり前で、辞退されていても手ぶらで参列するのが不安になりますよね。
香典を持っていきたい気持ちはわかりますが、辞退されているときは無理に渡さずに故人を弔う気持ちだけ持参するようにしましょう。
まとめ
今回の記事ではお通夜やお葬式での香典の渡し方をメインに解説していますが、法要や弔問などでも基本的なマナーは一緒です。
香典は書き方に始まり、袱紗の包み方や渡し方など、一度覚えておけば他の弔事でも役に立つことばかりですので、今回の記事のポイントを抑えておきましょう。
- 香典は必ず袱紗に入れて持参する
- 袱紗は「正式なもの」「台付」「封筒型(金封型)」の3種類がある
- 使い慣れていない人は「封筒型(金封型)」がおすすめ
- 香典を渡すときは「お悔やみの言葉」を必ず添える
- 香典は反時計回りに方向を変える
- 仏前に供えるときは自分の方に名前を向ける
お葬式に関するマナーは覚えることはたくさんですが、社会人の最低限のマナーとしてしっかりと身につけるようにしましょう。