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香典袋(外包み)の正しい折り方は?お葬式の香典マナー

香典袋(外袋)の正しい折り方

悲しい知らせというのは突然に来るもの。訃報を受けてからお通夜・お葬式までは準備をする時間が限られていて、気持ちの整理がつかないまま参列することも多いでしょう。

特に、初めてのお葬式の参列では、香典袋の書き方や当日のマナーばかりに気を取られ、きちんとお別れできなかったと感じる人も少なくありません。そして、香典は金額や書き方だけではなく、包み方にもマナーがあります。

今回の記事では「香典袋(外袋)の正しい包み方」について、画像と一緒にわかりやすくご説明していますので、香典袋の包み方に困ったときは是非参考にしてみてください。

折り方ひとつで「弔事」と「慶事」が変わる

人にお金などを贈るタイミングはさまざまありますが、大きく「お悔やみ事」と「お祝い事」の2つのパターンに分かれます。

市販の不祝儀袋(香典袋)やご祝儀袋は、ひと目見ただけでの色や華やかさの違いがわかりますが、実は折り方やお金の包み方にも違いがあります。

不祝儀とご祝儀
  • 不祝儀(ぶしゅうぎ)・・・お葬式やお通夜、法事などの弔事に贈る金品のこと
  • ご祝儀(ごしゅうぎ)・・・結婚式や出産など、慶事に贈る金品のこと

※外袋に包む前に最終チェック!中袋は正しく使えてる?

外袋ばかりに気を取られて、中袋の使い方やお札の入れ方など、何も気にしていない・・・という方もいらっしゃいますが、香典の包み方はお札の向きなどにもしっかりと配慮する必要があります。

外袋に包む前に下記のポイントを参考に最終チェックをしてみましょう。(弔事用の包み方)

  • お札の向きは正しく入っているか(中袋に対してお札が反対向き、かつ人物が下向きになっているか)
  • 中袋の表側には包んだ金額が記入されているか
  • 中袋の裏側には香典を出した人の「住所」「名前」(連名の場合は個別の金額)が書かれているか

中袋の正しい書き方についてはこちら

不祝儀(弔事)は「左開きの下向き」

不祝儀は故人とのお別れを惜しむ、悲しみを表すという意味から、香典袋の裏側を見たときに下向きになるように包みます。また、中の香典を取り出すとき、表側から見て左開きになるようにする事も忘れないようにしましょう。

香典袋_外袋_下向き
外袋の裏側

左開きの香典袋を用意

【手順】市販の香典袋を使用する場合

市販の香典袋の場合は、ものによって外包みの折り方や形状が異なります。無理に「左開き」にするのではなく、元々の折り方などに併せて包むようにしましょう。

ただし、裏返した時の「下向き」だけはきちんと守ってくださいね。

外袋の下側を水引から引き抜くように外す
香典袋_外袋の裏側
外袋の下側を引き抜く

市販の香典袋は、基本的に中袋と外袋が別々の状態で入っているので、中袋の準備が終わったら外袋の下側を水引から引き抜きましょう。(中袋がない場合は直接外袋に包みます。)

上側よりも下側を引き抜く方が入れやすくなる
香典袋_外袋の裏側
(図1)外袋の上側を引き抜いた状態
お札の入れ方_外袋の裏側
(図2)必ず上側が上になるように戻す

最終的に綺麗に包むことができれば、上でも下でもどちらを引き抜いても問題ありませんが、上側を引き抜くと戻しにくくなります

香典袋は必ず上側が上に重なるように包むので、戻すときに水引と下側の間に戻さなくてはいけない為です。

その点、下側を引き抜いておくと、戻すときは上側の下にスッと入れるだけなので、水引に引っかかって戻しにくいということがなくなります。

お札を入れた中袋と外包みの「表面」をあわせて入れる
中袋の入れ方_外袋の下から入れる場合
表裏・上下を揃えて外包みに入れる

写真では中袋に何も書いていない状態ですが、実際には包んだ金額を表面、ご自分の住所・名前を裏面に記入してから外包みに入れるようにしましょう。

中袋の書き方やお札の入れ方についてもマナーがありますので、「【解説画像付】香典のお札の正しい入れ方は?中袋の使い方を徹底解説」の記事を参考にしてみてください。

上側の折り返しの下に入れるように戻す
香典袋_外袋_下向き

戻すときは必ず上側が上になるように戻します。下側を引き抜いた場合は、水引の下にある上側の下に滑り込ませるようにして戻しましょう。

封筒タイプの香典袋も多くなってきている

市販の香典袋には、中袋と外袋の両方とも封筒タイプになっているものも増えてきています。そのような香典袋の場合は折り方や入れ方などを迷うこともほとんどないので、不安な方は封筒型の簡易的なものを選ぶと安心です。

ただし、封筒型のものでもお札の入れ方や書き方などに関するマナーは、通常の香典袋と同様にしっかりと守るようにしましょう。

【手順】奉書紙などで外包みをする場合

奉書紙などで外包みをする場合、「左開き」と「下向き」を意識して包むようにしましょう。

ここでは奉書紙ので外包みをする手順をご紹介していますが、奉書紙(半紙)を使った正しい香典の包み方については「半紙・奉書紙を使った正しい香典の包み方」でご紹介していますので、併せてご参考にしてください。

中袋(お札)を外袋の真ん中に置く
奉書紙の包み方

写真では見やすいように外袋を置いていますが、実際に真ん中に置くのは「中袋」もしくは「香典のお札」です。中袋を使わない場合は外袋で直接お札を包みます。

外袋を右→左の順番に三つ折りにする
奉書紙の包み方

外包みを右→左の順番におり、中包みをきちんと包むように三つ折りにします。折る順番を忘れがちですが、弔事は左開きと覚えておきましょう。

市販の香典袋は右開きが主流に・・・

本来は不祝儀袋は左開き、ご祝儀袋は右開きになりますが、最近の市販されている香典袋は右開きのものが多くなっています。もし市販のものを使うときに右開きのものであれば、無理に左びらきに直さずにそのまま右開きのまま使うようにしましょう。

裏返して下→上の順に折りたたむ
奉書紙の包み方
香典袋_外袋_下向き

香典袋は後ろから見たときに、上側が上に重なっている(お辞儀をしているように見える)ようにします。

ご祝儀(慶事)は上向き

ご祝儀は、婚礼の場でお祝いの気持ちを込めて持参する金銭のことを指します。

包み方のマナーについては、基本的に香典(弔事)と逆と覚えておきましょう。

不祝儀袋ご祝儀袋
外包みの開き方左開き(市販のものは右開きの物もある)右開き
外包みの後ろ側下向き上向き
お札の向き裏側にお札の正面が向く表側にお札の正面が向く
不祝儀袋とご祝儀袋の違い

袱紗の使い方でも「不祝儀」「ご祝儀」が変わる

お葬式やお通夜、法事などに香典を持参するときは、たとえ会場が近場であったとしても、袱紗に包んで持参するのが社会人の最低限のマナーです。

この袱紗には、風呂敷タイプ、台付き袱紗、封筒型袱紗の3種類があります。

どの袱紗を使っても問題ありませんが、袱紗の包み方がわからない方は、誰でも簡単に使うことができる「封筒型」のものを一つ用意しておくようにしましょう。

ここでは風呂敷タイプや台付袱紗の包み方について解説していきます。

不祝儀(弔事)は左開き

袱紗で包むときも、外包みと同様に「不祝儀は左開き」と覚えておきましょう。

外包みでは市販の香典袋の例外などもありましたが、袱紗には例外はなく、どのタイプの袱紗を使うときでも必ず左開きになるようにします。

左側に爪が来るように袱紗を開いて置く
袱紗の包み方_台付①
爪を左にして袱紗を開く

お葬式などの弔事では、袱紗が左開きになるように香典袋を包むため、爪が付いている場合は爪が左側になるように袱紗を開きます。もし爪がついていない場合は台が右側になるようにします。

※爪も台もない場合は袱紗が菱形になるような角度で、机の上などに開いてください

台の裏表

台付袱紗の場合、台の裏表にも注意が必要です。お葬式やお通夜の弔事では、寒色系の色を使うので、裏表の色を見比べて暗い色が表を向くようにセットしましょう。(赤などの暖色系は結婚式などで使用します)

台の上に香典(袋)を置き、右下上左の順に袱紗を畳んで包む
袱紗の包み方_台付②
袱紗の包み方_台付③

袱紗も香典袋と同じで、上から下に重なるように包みます。

爪(もしくは紐)で留めて完成
袱紗の包み方_台付④

爪付きの袱紗の場合は、留め具(爪)がついているのでしっかりと留めて中の香典が落ちないようにします。

留め具がついていない袱紗や、ハンカチ・風呂敷で代用する場合は留めずに持参するか、紐などで軽く留めて完成です。

ご遺族の方に手渡す際は左側の包みから開き、開いた部分は裏側に折り込みます。開いた左側から香典袋を取り出し袱紗の上に置きます。その後、ご遺族の方に文字が見えるように袱紗ごと反時計回りで180度回転させ両手でお渡しします。

その際に「この度はお悔やみ申し上げます」と一言添えて渡しましょう。

封筒タイプの時は入れる時の向きに注意

封筒タイプの袱紗の場合は包む動作がないので、左開き・右開きが意識しにくいのですが、単純に左開きにした状態で香典を正しく読めるように入れましょう。(結婚式などの慶事の時は右びらきです)

封筒型袱紗(弔事)
左開きの正しい入れ方
封筒型袱紗(慶事)
右開きの間違えた入れ方

袱紗の正しい使い方(包み方)はこちらから

外袋は包む金額が大きいほど豪華になる

市販の香典袋にはさまざまな種類があり、見た目がシンプルなものから少し派手なものまで用意されています。

どの香典袋を使ったとしても、重大なマナー違反となるわけではありませんが、基本的には香典の金額に合わせた見た目のものを使うように気をつけましょう。

香典の金額相場

香典に入れる金額は故人と自分の関係性によって相場が変わります。

ここでは一般的な相場表を掲載しますが、金銭的に余裕がない中、無理に相場の金額を用意する必要はありません。

故人との関係20代30代40代50~
両親3万円 ~ 10万円5万円 ~ 10万円5万円 ~ 10万円10万円
祖父母1万円1万円 ~ 3万円3万円 ~ 5万円5万円
兄弟・姉妹3万円5万円5万円5万円
叔父・叔母1万円1万円 ~ 3万円3万円3万円
その他親戚5千円5千円 ~ 1万円1万円1万円
友人・知人5千円5千円 ~ 1万円5千円 ~ 1万円1万円
上司5千円5千円 ~ 1万円1万円1万円
同僚5千円5千円 ~ 1万円1万円1万円
年齢を考慮したお葬式の香典相場

生前の関係性などによっても最適な金額は変わってきますが、基本的な相場は上記の通りです。香典の金額を決める時は相場を参考にしながら、参列される他の方と相談しておくと良いでしょう。

相談することである程度周りの人と金額を揃えることができます。

また上司や目上の方もお葬式に参列される場合はその方が包む金額よりも高額を包んでしまわないよう気をつけましょう。目上の方の顔を立てることも香典マナーに必要です。

金額による香典袋の外側の違い

香典の外袋はさまざまな見た目のものがあります。外袋の見栄えは中に入れる金額に応じて適したものを選ぶ必要があります。

受け取った遺族が「袋は豪華なのにこれだけしか入っていないのか」と感じることはないと思いますが、金額と見た目が合っていない場合「入れる金額を間違えたのかな?」「受付の時に落としてしまった?」と不安にさせてしまうこともあります。

配慮不足とならないよう、最適なものを選ぶようにしましょう。

香典の金額水引紙質サイズ
5,000円以下
(印刷多当)
結び切りの水引が印刷されたもの普通の紙一般的なサイズ
(約18.5cm × 11cm)
30,000円以下
(水引金封)
黒白か黄白の5本の水引普通の紙、もしくは和紙一般的なサイズ
(約18.5cm × 11cm)
100,000円以下
(中金封)
双銀の7本の水引高級和紙少し大きめのサイズ
(約20cm × 13cm)
100,000円以上
(大金封・特大金封)
双銀の10本の水引高級和紙大きめ
(約21cm × 15cm以上)
金額による香典袋の選び方【早見表】

高級和紙を用いた大金封が必要になる方はほとんどいないと思いますが、もし必要になった場合、コンビニや100円ショップでは売っていない為、仏具店やネットでの購入が必要となります。

宗派による外袋の柄の違いについて

市販の香典袋には「ハス」や「ユリ」の花が描かれているものもあります。

宗教によって使用できる絵柄が異なるため、参列する葬儀の宗教がわからないときは無地のものを選ぶようにしましょう。

宗教 香典袋の絵柄
仏教 無地
ハスの花
仏教
(浄土真宗、真宗大谷派、曹洞宗)
キリスト教(カトリック) 無地
十字架
ユリの花
キリスト教(プロテスタント)
神式 無地
無宗教、宗派が分からない場合 無地
宗教ごとの香典袋の絵柄

正しい香典袋の選び方について、詳しくはこちらから

香典袋の書き方について

香典袋は包み方だけではなく書き方についてもマナー・作法があります。以外に忘れがちなポイントも多いので、すでに知っている。という方ももう一度復習しておきましょう。

  • 表書き・名前は薄墨の筆・筆ペンでかく
  • 表書きは宗教・宗派を考慮
  • 金額は改竄防止のために大字(旧漢字)で書く
  • 記入欄があるときは記入欄に従う
  • 中袋の住所や名前などの細かい文字は筆ではなく黒のサインペンでもOK

香典袋を書くときに最も注意しなくてはいけないのは、受け取った遺族の方がきちんと読むことができる「丁寧な文字」で書くことです。

もちろん書き方やマナーを守っていることが望ましいのですが、いくらマナーを守っていても読めない雑な字で書いてあっては意味がありません。

普段から筆で文字を書くことに慣れている人は少ないと思いますので、無理に筆や筆ペンを使わずに、中袋などの細かい文字は黒のサインペンなどを使うようにしましょう。

また、表書きや名前の部分は短冊に印刷をすることで綺麗に仕上げることもできます。

香典袋に関するよくある質問

香典袋には封をする必要がありますか?
ご遺族の方が中身の確認をする際に手間となってしまうため、香典袋は糊付けなどの方法で封をする必要はありません。
お葬式に参列できません・郵送で香典を送る時に気をつけることはありますか?
どうしてもお葬式に参列できず郵送にて香典を送る場合は、訃報を聞い1週間から1ヶ月の間に送るようにしましょう。お葬式の直後はご遺族の方は忙しい場合が多いのでお葬式の直後に送ることは避けましょう。また、香典だけを送るのではなく、便箋1枚程度にお悔やみの気持ちを綴り同封すると気持ちが伝わりやすくなります。
香典袋に薄墨で書くのはいつまでですか?
香典袋に薄墨を用いるのは四十九日までの法要(お葬式・お通夜など)です。四十九日を含む、一般的に法事と呼ばれるもの(四十九日・一周忌・三回忌など)では、薄墨ではなく黒い墨を使って書くようにします。

まとめ

香典袋には書き方や包み方、袱紗の使い方などさまざまなマナーがあり、覚えることもたくさん・・・。

今回の記事では「香典袋の外包みの包み方のマナー」について、きちんと覚えてくださいね。

  • 弔事の基本は「左開き」「下向き」
  • 市販の香典袋の場合は「右開き」のものがある
  • 袱紗も「左開き」で封筒型の袱紗も入れ方に注意する

弔事と慶事でマナーが異なるのも厄介なところですが、弔事の場合は「左」、慶事の場合は「右」が基本と覚えておくと、わかりやすいかもしれません。

また、香典(不祝儀)とご祝儀は基本的に反対になるマナーがほとんどです。

弔事のマナーを覚えておくことで、結婚式などの慶事の時のマナーにも役立つものが多くありますので、これを機にしっかりと復習しておくといいかもしれませんね。