自分らしい最期のための終活・葬儀の事前準備に

半紙・奉書紙を使った正しい香典の包み方

香典を半紙(奉書紙)で包む方法

身内や知り合いに不幸があり通夜やお葬式に参列する際、香典を包むためには何を用意しますか?

多くの方が「香典袋」とも呼ばれる「不祝儀袋」をコンビニやスーパーなどに買いに行きますよね。現代では不祝儀袋を使った香典の包み方が一般的ですが、実は半紙や奉書紙を用いて現金を包むのが香典の正式なマナーとされています。

この記事では、半紙・奉書紙を使った香典について、包み方から必要な材料が購入できる場所、渡し方まで詳しく解説していきます。

正式な包み方は半紙・奉書紙を使った方法

不祝儀袋(香典袋)は近場で手に入りやすく、中包みと外包みがセットになっていて、誰でも簡単に香典を包むことができます。急な通夜で香典を用意する際に、さっと用意ができるので、不祝儀袋を使われているという方は多いのではないでしょうか。

もちろん不祝儀袋を使用することは間違いではありません。しかし、本来は半紙もしくは奉書紙で現金を中包みし、奉書紙で外包みをして白一色の水引を用いるのが正式な香典のマナーです。きちんと包まれた香典は、贈る側も受け取る側も、お悔やみの気持ちが伝わりやすくなります。

不祝儀袋が一般的な現代では、半紙などを使って香典を包むことはほとんどありませんが、販売されている不祝儀袋に中袋がなかったり、書き損じで中袋がなくなったりした場合にも対応ができるので、包み方を覚えておくと良いでしょう。

奉書紙とは

まずは、中包み・外包みで使用する、奉書紙についてご説明いたします。半紙は書道や習字などで使われるのでご存じの方は多いと思いますが、奉書紙とはどんなものかみなさんは知っていますか?

奉書紙は和紙の一種で、最高級の公用紙として使用されています。奉書紙の歴史は古く、室町時代からといわれており、もともとは幕府が使う公文書用の紙とされてきました。そのため、奉書紙の「奉」書は命令書からきているといわれています。大切なことを伝える紙として、現在では弔事を書く用紙、香典やお布施を包む紙として使われるようになりました。

最近ではレーザープリンタに対応した奉書紙も販売されていて、神社巡りの必需品「御朱印帳」にも多く使用されています。

中包みの作り方(お金の包み方)

中包みとは、お金を直接包むのを避け、外側から見えないように目隠しをするために紙でお札を包むことです。半紙もしくは少し小さめのサイズの奉書紙を使います。

包む際の注意点は、紙の表裏とお札の向きです。半紙・奉書紙はツルツルした面が「表」、ザラザラした面が「裏」となっています。文字を書いてもにじまないように、ツルツルした面を上にする、と覚えるとわかりやすいですね。

また、お札は人物が描かれている面が「表」、描かれていない面が「裏」となっています。

包む紙を用意

今回は一般家庭にも多くある「半紙」を使って包みます。半紙は書道で使うもので大丈夫なので、小中学生のお子様がいる家庭であれば、授業で使っている半紙を使ってください。

コピー用紙の場合はA4サイズがお勧め

コピー用紙で代用する場合、サイズはお札が包めるサイズであればなんでも大丈夫ですが、A4サイズかB4サイズの用紙だと半紙と同じように包む事ができます。もしコピー用紙がなければ、コンビニのコピー機で白黒の空コピーをすれば10円で手に入れる事ができます。

半紙にお札をおき右端を約3.5cmを残して斜めに折る
中袋なし_コピー用紙代用_1
中袋なし_コピー用紙代用_2

画像は半紙での包み方を解説していますので、3.5cmを残すことで仕上がりがとても綺麗な仕上がりになります。

この3.5cmはあくまでも目安で、多少前後してもきちんと包むことはできますので、コピー用紙で代用する場合などはあまり気にせずに折り進めてください。

お札を折り目の下に入れお札の左右を閉じるように折る
中袋代用_コピー用紙_3
中袋なし_コピー用紙代用_4

お札の向きに注意しながらお札を入れ、左右を谷折りで折り返します。左右を折り返したら右下方向に2回谷折りにしてお札が落ちないように包みます。

完成
中袋代用_コピー用紙の完成形(綺麗な時)
綺麗に包めたとき

折り終わったときに、表面の右下に三角形があり、左側がはみ出していなければ綺麗に包めています。多少のずれがあっても問題ありませんが、最初の一回目を折るときに3.5cmを意識すると、左側のはみだしもなく綺麗に包む事ができます。

綺麗に包めなかったとき

半紙の場合は最初の3.5cmを意識していただくと綺麗に包む事ができますが、失敗例は下の写真のように左と右下に少しはみ出した部分ができます。

この状態でも特に問題はありませんが、せっかくなら綺麗に包めるように、半紙であれば3.5cmを意識するようにしてみてください。

中袋代用_コピー用紙(汚い時)
綺麗に包めていないとき

外包みの作り方(中包みの包み方)

外包みは半紙ではなく奉書紙を使います。

奉書紙のサイズは様々なものが販売されていますが、四六判の四切を用意してください。A判やB判のもの、もしくは半紙のサイズだと、外包みとして使用した時に大きさが足りずに裏側の必要な重なりを作ることができません。

奉書紙を用意
奉書紙

画像は四六判の四切の奉書紙です。このままだと大きさが分かりにくいので、香典袋をおいたものをご覧ください。

奉書紙_切り方

画像では分かりやすいように香典袋をそのまま(外袋の状態)で配置していますが、実際に包むのは中袋のみですのでご注意ください。

奉書紙を必要なサイズにカットする

四六判の四切の奉書紙の場合、そのまま使うこともできますが、香典袋を包むには少し大きすぎるので適切な大きさにカットしましょう。

奉書紙_切り方
奉書紙のカットするサイズ

奉書紙の必要なサイズは、包む中袋の横3倍、縦2倍(2.2倍程度)のサイズです。四六判の四切の奉書紙の場合は、奉書紙を横向きにおいて、中袋の横幅3つ分のところでカットするとちょうど良いサイズにカットすることができます。

カットした奉書紙を横に三つ折りにする
奉書紙の包み方
奉書紙を三つ折りにする

奉書紙の中央に中袋を置き、両サイドから奉書紙を三つ折りにします。三つ折りにするときは下の画像のように、中袋を定規がわりに長さを測ると分かりやすいです。

奉書紙の包み方
左開きになるように

香典袋(不祝儀袋)は左開きになるように包むのがマナー。三つ折りにするときは、右→左の順番でおるようにしましょう。

裏返して上下を折りたたむ
奉書紙の包み方
三つ折りにした奉書紙

奉書紙を三つ折りにできたら、その中央に中袋を入れます。中袋を入れたら一度裏返して、上下の余った部分を折り返しましょう。

奉書紙の包み方
裏返して上下を折り返す

香典袋(不祝儀袋)の裏側は折り畳んだ「上側」が上に重なる様にしております。下→上の順におるようにしましょう。

裏側の重なり順を間違えないように

「悲しみの涙を落とす」という意味があるため、必ず上側の紙が下にかぶさるようにしましょう。逆に折ってしまうと「上を向く」という意味から結婚式などの慶事用の折り方になります。

完成
奉書紙で包んだ後
奉書紙で外包みをした香典

包み終わった香典は、市販のものと同様に「表書き」「名前」を記入し、水引をつけて完成です。水引はなるべく白一色のものを選ぶ様にしましょう。

キリスト教のお葬式では水引は不要

水引は仏式、神式のお葬式の時だけつけ、キリスト教のお葬式では水引は付けずに奉書紙で包んだ状態で持参します。

水引について

お札を半紙・奉書紙で中包みをし、さらに奉書紙で外包みをしたら、白一色の水引をかけるのが正式なマナーです。

水引は「一度結ぶとほどけない」つまり「一度きり」という意味を込めて「結び切り」にします。もしくは「一度結ぶとほどくのが難しい」つまり「二度と繰り返したくない」の意味で、結び切りの一種である「あわび結び」をする場合もあります。

キリスト教でのお葬式の場合では、水引はつけずにそのままお渡しするようにしましょう。

水引が購入できる場所は?

水引は手芸用品店や100円均一などで購入することができます。時間に余裕がある場合ではamazonや楽天などのECサイトで購入することもできますが、届くまでにかかる時間を考慮してお葬式などに間に合うように準備をしましょう。

書き方はいつもの香典袋と同じでOK

半紙・奉書紙での香典の包み方にはルールがいくつもありましたが、外包み・中包みに書く文字に関しては不祝儀袋の書き方と同じで問題ありません。

文字を書くのに使用するのは薄墨の毛筆もしくは筆ペンで、不祝儀袋でも奉書紙でも共通のマナーです。

なぜ薄墨を用いるかというと「訃報の知らせを受けて悲しみで涙がこぼれ、墨が薄まる」という弔意を表しているからだといわれています。墨の濃さにもきちんと意味があるんですね。

ただし、現代ではあまり筆を使う機会がなく、細かい文字を書く事が難しい場合も多くあります。中包みに書く内容は香典返しの準備のために正確に読まれる必要があるため、中袋を書くときは濃墨の筆(筆ペン)や、サインペンなどでも良いとされています。

外包み・中包みそれぞれの書き方をみていきましょう。

【外包み】名前・表書きの書き方

外包みには「御香典」や「御霊前」などの表書きと、香典を出した人の名前をフルネームで記入します。

表書きとは、香典を贈る際の名目で、宗旨・宗派により異なります。故人の信仰する宗教やお葬式がどの宗教に倣って行われるのかわからない時は、担当の葬儀社や喪主に確認すると確実です。

宗教ごとの表書きの種類については下の表を参考にしてください。

宗教 四十九日以前 四十九日以降
仏教 御霊前 御仏前
仏教
(浄土真宗、真宗大谷派、曹洞宗)
御仏前
キリスト教(カトリック) 御花料
御ミサ料
御霊前
キリスト教(プロテスタント) 献花料
御花料
忌慰料
神式 御神前
御玉串料
御榊料
御神前
御玉串料
無宗教、宗派が分からない場合 御霊前
御香典
御仏前
御香典
宗教ごとの香典袋の表書き

名前は表書きの下の部分に、表書きよりやや小さめにフルネームで記入します。連名の場合、横並びで立場の高い人から順に右から記入していきます。立場に差がなければ、五十音順に書きましょう。

香典袋_外袋(名前)_書き方
外包みの書き方

【中包み(表)】金額の書き方

不祝儀袋の場合、金額は黒インクのサインペンで書くことができますが、半紙でお札を包んだ場合はサインペンでの記入が難しいため、薄墨もしくは濃墨の筆ペンや毛筆で書くのが良いでしょう。

中包みの表面の中央に、包んだ金額を記入していくのですが、ここで注意点があります。

金額の前に「金」と書くこと、数字の改ざんを防ぐため金額は大字(旧漢字)で書くこと、この2点に注意しましょう。

例えば、5,000円の場合だと金伍仟圓、10,000円だと金壱萬圓といったように記入します。圓のうしろに也と書く方もいますが、とくに書く必要はありません。

香典袋_中袋_表側(金額)_書き方

【中包み(裏)】名前・住所の書き方

裏面には表面と同じく、薄墨もしくは濃墨で包んだ方の名前と住所を記入します。

封筒に書く時と同じように、左下部分に郵便番号、住所、名前の順にそれぞれ改行して書きます。郵便番号や部屋番号などは縦書きで、漢数字で記入しましょう。

故人と親しい間柄だったとしても、ご遺族には関係性がわからないということもあります。また、お礼状を書くときに確認する場合もあるので、住所と名前は必ず記載しましょう。

香典袋_中袋の裏側_書き方

半紙・奉書紙・水引はどこで買える?

不祝儀袋であれば、コンビニやスーパーなど、どこでも見かけられます。しかし、「奉書紙は珍しいから、どこで買えるのかわからない」と思われる方は多いですよね。

ここでは、正式な香典の包みとして必要な奉書紙や水引などはどこで購入できるのか、ご紹介いたします。

半紙

半紙は書道や習字でよく使われるため、比較的手に入りやすいでしょう。文房具店に行けば買えると思いますが、100円ショップやコンビニ、ホームセンターの文房具売場など、身近な場所で見つけられます。

小・中学生のお子様がいる家庭であれば授業で使う書道の半紙でも使うことができます。

奉書紙

あまり聞きなじみのない奉書紙は、大型の文房具店やデパート、書道の専門店、ECサイトなどで販売されています。

販売されている店などによって値段もかなり変わりますが、外包みに使用する四切サイズであれば100枚入りで1,000円から3,000円ほどで購入できるでしょう。

奉書紙は近場では手に入りにくい場合もありますので、普段使いをしない人の場合はあらかじめ用意しておく必要があります。香典を包む以外にも贈答品の掛け紙として使用することもできるので、1セット購入しておくと便利かもしれません。

水引

水引は不祝儀袋を購入すればセットで付いてくるのが一般的ですが、奉書紙や半紙で香典を包む場合どこで購入できるのでしょうか。

手に入りにくそうなイメージがあるかと思いますが、実は100円ショップでも売られています。その他にも東急ハンズなどの雑貨店や、ECサイトでも購入ができるでしょう。

少し前までは、神社や専門店に行って購入していたようですが、現在はかなり手軽に買えるようになっています。

正しく包んだ香典は袱紗に入れて持参しよう

半紙・奉書紙で正しく香典が包めたら、そのままの状態で持ち歩かずに、袱紗(ふくさ)に入れて通夜やお葬式に持参しましょう。

袱紗(ふくさ)とは、冠婚葬祭で使用される、ご祝儀や香典などを包む四角い布のことです。

袱紗に入れることで、不祝儀袋のしわや汚れを防ぎ、水引の崩れや変形も防ぎます。また、渡す相手への丁寧な礼儀として、お悔やみの気持ちを表す心配りにもなりますので、冠婚葬祭で金封を持参する時のマナーとして覚えておきましょう。

どうしても袱紗がない場合は、寒色系の色味で派手な柄が付いていないハンカチで代用することも可能です。使う場面が少ないとはいえ、大人のたしなみとして袱紗を一枚は持っておくと良いでしょう。

袱紗は色や種類が豊富

袱紗には、さまざまな色や形状があり、使用する場面ごとに使い分ける必要があります。

袱紗の色は、弔事と慶事でふさわしい色があるので気をつけましょう。弔事では紫や紺、藍色や灰色など寒色系、慶事では紫や赤、オレンジやピンクなどの暖色系を使用するのが一般的だといわれています。とくに紫は弔事でも慶事でも使える色となっているため、紫の袱紗が一枚あれば、多用途で使用できるのでおすすめです。

袱紗の種類もいくつかあり、大きく分けると「挟むだけの袱紗」「折って包む袱紗」の2種類です。袱紗で金封を丁寧に包むことで、相手に弔意を示すことができます。香典の金額や相手との関係性など、場面によって使い分けると良いでしょう。

袱紗の包み方

「挟むだけの袱紗」は香典を挟むだけで非常に簡単ですが、開く向きに気をつける必要があります。左側から開いた時に、表書きが正面に見えるように香典を挟みます。右開きは慶事となるので注意しましょう。略式の袱紗といわれているので、金額が3万円以下の香典を包む場合に使います。

「折って包む袱紗」は3万円以上の香典を包む時に使いましょう。ここでは「台付袱紗」を使って包み方をご紹介しますが、台のない通常の袱紗でも基本的な包み方は一緒です。

左側に爪が来るように袱紗を開いて置く
袱紗の包み方_台付①
爪を左にして袱紗を開く

お葬式などの弔事では、袱紗が左開きになるように香典袋を包むため、爪が付いている場合は爪が左側になるように袱紗を開きます。もし爪がついていない場合は台が右側になるようにします。

※爪も台もない場合は袱紗が菱形になるような角度で、机の上などに開いてください

台の裏表

台付袱紗の場合、台の裏表にも注意が必要です。お葬式やお通夜の弔事では、寒色系の色を使うので、裏表の色を見比べて暗い色が表を向くようにセットしましょう。(赤などの暖色系は結婚式などで使用します)

台の上に香典(袋)を置き、右下上左の順に袱紗を畳んで包む
袱紗の包み方_台付②
袱紗の包み方_台付③

袱紗も香典袋と同じで、上から下に重なるように包みます。

爪(もしくは紐)で留めて完成
袱紗の包み方_台付④

爪付きの袱紗の場合は、留め具(爪)がついているのでしっかりと留めて中の香典が落ちないようにします。

留め具がついていない袱紗や、ハンカチ・風呂敷で代用する場合は留めずに持参するか、紐などで軽く留めて完成です。

香典を渡す際は、渡す方の目の前で袱紗から取り出し、表書きが相手から見えるように向きを変えて、両手で手渡します。渡す時には「この度はご愁傷さまでした」など、一言お悔やみの言葉を述べて渡すのが基本です。

まとめ

今回は、半紙・奉書紙を使った正しい香典の包み方をご紹介いたしました。簡単にこの記事の要点だけをまとめると・・・。

  • 正式な香典は半紙・奉書紙を使って中包み、外包み、白一色の水引をする
  • 中包みは紙の表裏、お金の向きに注意する
  • 外包みは上側が下側にかぶさるように、折り方に注意する(弔事用)
  • 中包み・外包みの書き方は香典袋と同じで良い
  • 外包みの記入は薄墨の筆ペン・毛筆で、中包みは読みやすいように濃墨でも良い
  • 半紙はコンビニや100円ショップで、奉書紙・水引はECサイトなどで手軽に購入できる
  • 香典は寒色系の色の袱紗に包んで持参する

包む方向によって意味が変わってくるなど注意する点が多いのですが、正しく包むことにより、渡す相手への敬意やお悔やみの気持ちを表しますので、覚えておくと丁寧でいいですね。

お葬式でのマナー違反は故人やご遺族にとって失礼にあたる場合もあるので、香典の包み方や袱紗の使用など正しいマナーをしっかりと身につけておきましょう。