香典は一世帯で一つ包むのがマナーですが、故人が職場の人など会社や部署単位で連名として包むこともあります。
連名でも個別でも基本的なマナーは変わりませんが、連名で出していい時とダメな時などの判断は知識がないと難しいものですよね。
今回の記事では「香典を連名で包んではいけない時」と「連名にしてもいいとき」を、できるだけわかりやすくご説明していきますので、悩んだ時のご参考にしてください。
香典の基本は世帯ごと個別に包む
まず、香典の基本は世帯ごとに一つの香典を包みます。
重要なポイントとしては「一人」ではなく「一世帯」ということで、未成年の子供や夫婦で参列する場合は連名にする必要はなく、一つの香典として世帯主の名前で出すことができます。
ただし、家族で参列する場合でも、成人して独立している子供など世帯が別になっている場合は、それぞれ個別に香典を包みます。
連名で包むことはマナー違反ではない
世帯ごと個別に包むのが基本のマナーですが、故人との関係性や会社関係の事情がある場合は、世帯の違う人と一つの香典を出し合って包む(連名)こともあります。
特に多いのは故人が会社関係の場合で、所属している部署単位や社内の有志で一つの香典を包みます。
連名で包むことにより、お葬式に参列できない人でもお悔やみの気持ちを伝えることができるので、一斉に休みを取ることが難しい場合などでは重宝される香典の出し方です。
また、未成年の子供の関係者(学校関係の人)が故人の場合、世帯主の名前だと受け取った側の遺族が誰からの香典か判断が難しい場合もあるので、そのような場合は子供の名前を連名で書くようにします。
連名にすることを避けた方がいいパターン
香典を連名で出すこと自体はマナー違反にはなりませんが、場合によっては連名で出してはいけないこともあるので注意が必要です。
特にお葬式などの弔事では「重なる」という意味合いを持つものや行動はタブーとされているので、自分が個人で香典を包んでいるのに、会社の部署の連名にも名前を連ねる事の無いように注意が必要です。
自分がお葬式(もしくはお通夜)に参列するとき
会社関係のお葬式などでは、部署の人全員がお葬式に参列することが難しく、代表者だけが参列することがほとんどです。
つまり、基本的には「お葬式やお通夜に参列できない人」もしくは「参列するほど故人との関係性がなかった人」が連名として香典を出します。
そのため、自分自身で参列する場合は連名ではなく個別に香典を包むようにしましょう。
個人で個別に香典を包むとき
個人で香典を包む場合、連名でも包んでしまうと香典を二回出すことになり「不幸を重ねる」という意味合いになります。弔事では繰り返しや重ねるということがタブーとされているため、個人で出す場合は連名の香典には出さないようにしましょう。
会社関係のお葬式の場合には、会社の規則によって連名で出すことが決められていることもあるかもしれません。そのような場合は個人で出すのではなく、会社の規則に従うか、上司などに相談して動くようにしましょう。
他の連名で出しているとき
連名はコミュニティごとに作られることが多いので、複数のコミュニティに参加している方の場合は、複数から連名の声がけをされることもあるかと思います。
よくあるパターンとしては、大学のサークル関係の被りや、会社関係と友人関係で被っている場合などです。
このような場合、両方のコミュニティで連名を出してしまうと、香典を二回出しているのと同じ意味になってしまうため、どちらから一方のコミュニティで出すようにしてください。
世帯別で暮らしている家族で包むとき
家族で参列するときは、同じ世帯で生活している場合は一つの香典が基本ですが、別世帯で暮らしている場合は家族であっても個別に香典を出すことが基本です。
祖父母のお葬式などで兄弟姉妹の連名で出す場合がありますが、これは同居中の家族の場合で、世帯別で住んでいるところも別の場合は、個別に包むようにしましょう。
連名にすることが多いパターン
香典を連名で出す時の基本は「参列できない人がいる時」「個人との関係性が薄い時」「連名にしないと遺族が差出人を把握できない場合」のどれかに該当します。
あまり深い関わりのない同じ組織に所属する人の香典
故人が同じ組織に所属している場合、組織が小さければほとんどの人が関わりを持っていると思いますが、組織が大きくなると必ずしも深い仲であるとは限りません。
特に会社関係などの場合では、業務上の付き合いはあるけどプライペートでは全く関わりがない。ということも珍しくありません。
同じ組織に所属している場合でも、あまり深い関わりがなければ個人で参列するのではなく、連名として香典を出す程度にしておくことがあります。もちろん会社の規則によって個人での参列を禁止している場合もありますので、会社の規則と故人との関わりを考慮し、連名にするのか個人で出すのかを判断するようにしましょう。
同じ組織に所属する人の家族の香典
会社や学校などの同じ組織の所属する人の家族が亡くなられた場合、基本的にはその組織の連名で香典を出すことが多くなります。
プライベートで家族同士の関わりがあったり、よく実家に遊びに行くことがあったりなどする場合では、個人で香典を包むこともありますが、会社関係の場合では周りと足並みを揃えることが一般的です。
夫婦ともに関わりのある人の香典
夫婦で香典を出すときは、同じ世帯の香典になるので世帯主の名前だけを書くのが基本ですが、夫婦揃ってお世話になった方や、妻の関係者のお葬式などでは夫婦の連名にすることが多くなります。
家族同士の付き合いがあった場合、妻の職場の方、妻の実家関係の場合などが該当します。
必ずしも連名にしなくてはいけないわけではありませんが、香典を受け取った遺族の方が誰からの香典かわかりやすくするためには、連名にするようにしましょう。
未成年の子供など収入のない家族と参列する時
未成年の子供など収入のない家族と一緒に参列するときは、世帯主の名前だけで香典を出すのが基本です。
連名にするパターンとして、子供の学校の関係者のお葬式の時があげられます。
子供の学校関係、例えば子供の同級生のお葬式などでは、世帯主(親)の名前が書かれた香典を見ただけでは、遺族の方が誰か判断するのが難しいことが考えられます。
子供の名前を一緒に連名として書くことで、遺族の方にとってもわかりやすく、仮にわからない場合でも学校の名簿などを見ることで「学校関係の人からの香典」と判断することができます。
連名で香典を包む時の金額の決め方
連名で香典を包むとき、金額の決め方は多く2種類あります。
- 一人当たりの金額を固定する方法
- 合計金額を決めて連名の人数で割る方法
前者の場合は一人当たり3,000~5,000円、後者の場合は合計金額が5,000~10,000円になるように調整をするのが一般的です。
どちらの方法で金額を決めるのかは、集め方や故人との関わりの深さによっても異なりますが、関わりが深い集団で集める場合や有志で集める場合は前者が選ばれることが多くなります。
大学のサークルなど学生の集まりや、年齢の低い集まり、個人との関わりがあまり深くない集まりの場合は後者を選ぶことで一人当たりの負担を減らします。
また、後者で出す場合の香典は、遺族の負担も考えて香典返しを辞退するのが一般的です。
香典の金額の決め方については、ご自身の年齢や個人との関係性も関わってきますので、詳しくは下記の記事をご参考にして包む金額を決めてください。
連名の香典袋の書き方
連名で香典を出す場合も、香典の包み方や書き方については個人で包む時と基本は同じです。
ただし、連名の人数によっては外包みに名前が書ききれない場合があるので、その場合は別紙に名前と住所、包んだ金額を書いて香典に同封します。
外袋の書き方
外袋には「表書き」と「名前」をフルネームで記入します。短冊を使う場合は2名まで、短冊を使わずに外袋に直接記入する場合は3名までの名前を書くことができます。
それ以上の人数で香典を出す場合は、代表者名+他〇〇名と書き、別紙にて詳細を書くようにしましょう。
中袋の書き方
中袋には表面には「香典の合計金額」を記入し、裏面には香典を出した人それぞれの「名前」「住所」「金額」を記入します。
個人で出すときは金額は書きませんが、連名で出すときは誰が何円包んだのかわかるように金額も記入するようにしましょう。
書く順番は外袋の名前と同様に、右側から目上の人を書くようにします。
連名で香典を包むときの中袋の書き方については「連名で香典を出すときの中袋の書き方について」にて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
連名の香典に関するよくあるご質問
- 上下関係のない友人で連名で包む予定ですが、名前の順番はどうしたらいいですか?
- 特に上下関係がない場合は五十音順で右から順番に書いてください。
- 連名で香典を包むときに避けたほうがいいことは何ですか?
- 他の連名や個人でも出すなど「香典を二回出す」ことにならないように注意してください。また、香典のお金を集める際、合計金額が4や9がつく金額やお札の枚数にも注意をするようにします。
- 会社、学校といった組織での連名の書き方はどうしたらいいですか?
- 会社の場合は代表者(社長)の名前を書くのが一般的ですが、学校などの場合は組織名だけでも問題ありません。
- 連名は何名まででしょうか?
- 3名までが一般的と言われていますが、4名以上でも大丈夫です。 3名までなら連名した人の名前を書き、4名以上なら代表者の名前の横に「他〇名」もしくは「〇◯一同」と書きましょう。
- 香典返しを辞退したいのですが・・
- 香典返しを辞退したい場合は、中袋や別紙に「お返しは辞退させて頂きます」と一筆書いておきましょう。
まとめ
今回の記事では香典を連名で「出すとき」と「出してはいけない時」をできるだけわかりやすくご説明させていただきました。
- 香典は世帯ごとに一つが基本(連名で包むことはマナー違反ではない)
- 同じ組織に所属している人のお葬式の場合は連名で包むことも多い
- 香典を二回出すことはNG(別グループの連名で出すことはダメ)
- 夫婦・家族で一つの香典を出す時は、場合によって世帯主だけか連名かを選択する
状況に応じて連名にするか、個別で出すかを決め、ご遺族に負担をかけないようにスマートに行うことを心がけましょう。