会社や友人関係など、香典を連名で出す場合、周囲に呼びかけたりお金を集めたりするまとめ役が必要です。今この記事を読んでいる皆さんの中には、まとめ役を任されて困っている方も多いのではないでしょうか?
通常の香典の渡し方にもたくさんのマナーやルールがあるのに、連名となると更に気にかける部分が多そう…と不安になりますよね。
今回はそんな皆さんの疑問を解決できるように、金額の決め方からお金の集め方、マナーなどについてよくある質問を交えて解説していきます。
連名で出す香典の金額の決め方には明確な決まりはない
大前提として、連名で出す場合の香典の金額に特に明確な決まりはありません。
故人との関係性や差出人の年齢・収入、地域風習などによって様々に変わります。
だからこそ金額の決め方に困るんですよね・・・。
少なすぎると失礼にあたりますし、多すぎてもご遺族の方が用意される返礼品の負担になってしまうこともあります。また、周りの人との金額差があまりにも大きいと、周りに不快な思いをさせてしまうことも。
香典金額の相場を参考にしながら、必要であれば周囲と相談して決めるのが良いでしょう。
また有志で集めるのか、一同として関係者全員から集めるのかによっても金額は変わります。金額を決める際は、なるべく一人当たりの負担が少なくなるような方法を取るのが一般的です。
具体的な金額の決め方は「割り算」か「足し算」
連名で香典を出す際の金額の決め方には、大きく分けて2つの方法があります。
- 合計金額を人数で割る「割り算」
- 一人当たりの金額を決める「足し算」
具体的な説明は後述しますが、故人との関係性があまりない場合は「割り算」にして一人当たりの負担を少なく。個人との関係性がある程度ある場合は「足し算」にすることで一人当たりの金額を確保するのが一般的です。
合計金額を人数で割る「割り算」
あらかじめ香典にいくら包むのかを決めた上で、その金額を人数で割ることにより、一人あたりの負担額を決める方法です。
決めた金額を割り算する方法のメリットは、人数が多ければ多いほど一人あたりの金銭的負担が軽くなる点。
学生のサークル仲間や同窓生、会社関係のくくりで香典を出す際などによく使われます。
一律〇〇円として集金してしまうと、学生やアルバイトの人などには負担が大きい場合もありますし、全員がお金を出すことに賛成しているとは限りません。その点、この方法ならば大人数の際には少額の負担で済むためスムーズに話が進みやすいでしょう。
香典の金額相場を参考にする
最初に設定する必要がある「香典の総額」については、基本的に一人当たりの相場に合わせるのが一般的です。相場については下記の表を参考にしてみてください。
友人 | 会社関係 | |
〜20代 | 5千円〜1万円 | 3千円〜5千円 |
30代・40代 | 5千円〜1万円 | 5千円〜1万円 |
50代〜 | 1万円〜 | 1万円〜 |
この通りではない場合も多いですが、全国的な相場を見ると、個人が出す金額の相場は5,000円〜10,000円ほど。
たとえば、大学生などのサークルの場合は20代の友人となるので、合計金額を5,000円〜10,000円に設定し、集金する人数で割ります。
会社関係で香典を包む際には、3,000円から5,000円あたりのことが多いようですが、連名にする人数が多い場合はやはり5,000円〜10,000円程度が適切です。もし会社などの慶弔規定で香典の額が指定されていたり、地域や町内でおおよその金額が決められている場合にはそちらに従いましょう。
人数が少ない場合は合計金額を下げるなど調整をして、一人ひとりの負担が大きくならないように注意して下さい。
一人当たりの金額を決める「足し算」
一人あたりの金額を先に決めて集金し、合わせた額を香典として包む方法です。
この方法で集金をする場合、基本的には割り算の場合よりも一人当たりの負担額が大きくなる傾向になります。
また、全員が出す金額を一律で揃える必要がないので、つき合いの深さやその人の立場によって金額の上乗せができるというところメリットがあるのも特徴。
合計金額を割り算する方法に比べて一人当たりの負担が大きくなるので、主に賛同してくれる有志で香典を集めるときに向いています。
金額の調整が必要になる
人数が決まっていないと最終的に集まる金額がわからないので、合計金額が四や九がつく場合など、金額の調整や逆両替の際の手間が増えたりする可能性があります。
金額の調整や逆両替などの対応は、お金を集めた代表者が行うことになりますので、できるだけ手間のないように協力をお願いするようにしましょう。
香典に必要なお金はどうやって集める?
連名での香典を募る際、全員に口頭で伝えることができれば問題ありませんが、お葬式は急を要するためなかなかそうもいかないのが現実ですよね。
ここではどんな集め方が効果的なのか具体的に見ていきます。
社内での訃報通知でお願いする
お葬式を執り行う旨を社内に報告する訃報通知が掲示される会社もあることでしょう。社内通知として掲示することで、ほとんどの人の目に留まるでしょうし、他の部署や連絡先のわからない人にも広く呼びかけることができます。
葬儀を執り行う場所などの基本的な情報に加えて、集金を締め切る日時、金額、集金の担当者名などを文書に記載し周囲に知らせます。
社内やグループのメールでお願いする
近年、一番使われる手段が社内やグループでのメールです。
例えば社内で集金する場合、「社員一同で御香典をお渡ししますので、〇月〇日までに〇〇に〇〇円をお持ちください」や「有志で心ばかりの御香典をお渡ししたいと考えております。ご賛同いただける方は、〇月〇日までに〇〇にご連絡ください。お一人あたり〇〇円をお預かりいたします。」というような内容のメールで通知します。
集めたお金はそのまま包まずに逆両替をする
逆両替をしないと中身がお札だらけになりますよね。
集めたお金をそのまま不祝儀袋に包んだのでは、遺族の迷惑になることもあるので逆両替をしましょう。
あまりに何枚も入っていると不幸が重なることを連想させたり、お札の枚数や金額に4や9が含まれる場合はそれぞれ死、苦を想像するという意味で失礼にあたります。
また、集める金額によっては小銭が入っている場合もあるでしょう。
香典は後々、不祝儀袋に記載されている金額と中身に間違いがないか遺族が確認します。ご遺族の手間を増やさないようにするという意味でも、逆両替は必要です。
金額の調整が必要な時は
金額を調整するときの方法として、よく使われる方法には以下のようなものがあります。
- 代表者が少し多めに出す
- 香典として渡す金額と、生花や供物代として渡す金額に分ける
- もう一度追加の集金を依頼する
個人で香典を出す際には、偶数や端数を出してはいけないというルールがありますが、連名の場合は複数人からお金を集めるという仕組み上、この点は気にしすぎなくても大丈夫です。
集めた香典を包むときの注意点
集めた香典を逆両替などで調整した後は、通常の香典のように、香典袋(不祝儀袋)に包みます。その際、基本的な書き方はいつも通りで問題ありませんが、名前や金額の書き方には注意必要です。
名前の書き方
3名までの連名の場合は、名前を全員分外袋と中袋の裏面に記載します。(中袋の裏面にはそれぞれの住所と包んだ金額も記入)
4名以上の場合、名前を書き切ることができませんので、「代表者名」と「〇〇有志」などと記載し、残りの連名者は別紙にまとめて記載してください。
外袋に短冊を使う場合、3名でも書ききれない場合があります。そういった場合は画像のように「他○名」や「〇〇有志」としてまとめるようにしましょう。
別紙にまとめる場合、中袋裏面も同じように「他○名」や「〇〇有志」としてまとめます。
金額の書き方
金額を書くときは、中袋の表面には「合計金額」、裏面(もしくは別紙)には「それぞれの個別の金額」を記入するようにしてください。
連名で香典を包むときは代表者だけが参列する
香典は基本的に、やむを得ない事情がある時以外は連名ではなく個別に出すのがマナーといわれています。
絶対に代表者一人しか参列してはいけないというわけではありませんが、多くても二人程度まで。全員が参列するのであれば、個別に香典を包みましょう。
連名と代理を一緒にしないように注意しよう
連名が、組織や団体の代表者が当日参列しない人から集めたお金をひとまとめにして渡すのに対し、代理は葬儀に参列できない場合に香典を別の参列者に託し、自分の代わりに渡してもらうことを意味します。
特に会社関係の場合、お葬式に参列したいのにまとまった休みが取れなかったり、出張に行っていたりなど、どうしても都合がつかない場合もありますよね。
そのような時は、基本的に「連名」ではなく「代理」をお願いするのが良いでしょう。その場合、香典袋の左下に「代」(配偶者の代理の場合は「内」)と書き添えます。
受付で香典を渡すときのマナー
香典を渡す際のマナーは連名でも個人でもほとんど変わりません。代表者としての自覚を持ち、身なりや行動、言葉遣いに気をつけるようにしましょう。
会社関連の葬儀に参列する際は、必ず名刺を用意し右上に「弔」と書くか左下を折り曲げておくのがマナーです。
また、香典を渡す際には芳名帳と呼ばれる帳面に住所や氏名を記入します。注意点は不祝儀袋に記名してある人の氏名や組織名ではなく、参列者本人の情報を書くことです。夫婦の場合は地域によって夫の名前のみ書くか連名で書くかが変わってきますので、受付の人に確認をとって下さい。
受付でのマナーについては下記の記事でも詳しくご紹介していますので、ご参考にしてください。
連名の金額に関するよくあるご質問
- 三人の連名で1,000円ずつ包む時は、不祝儀袋にどのように記載したらいいのでしょうか?
- 数名の連名で香典を出す際は、合計金額を記入するようにしましょう。
誰が何円包んだかは、別紙に添えてお知らせします。
別紙の書き方については「【テンプレート付】3名以上の連名は別紙を用意!香典の中袋に入れる別紙の書き方」をご覧ください。
- ご近所さんへの御香典、夫婦合わせて5,000円でも大丈夫ですか?
- 相場の範囲ですので問題ありません。
近隣の方への香典の相場は3,000〜5,000円程度と言われています。
また、夫婦で包む場合は「連名」ではなく、夫の名前でひとつの香典として出すことが一般的です。
- どうしても端数がでてしまう、金額や枚数が4や9になってしまうときはどうすればいいですか?
- 代表者が多めに出す、再度集金の依頼をかけるというような方法があります。
他には、少し金額を多めに集め、不祝儀袋の費用や代表者の交通費と分けるのも良いでしょう。
- 3000円しか包めないので連名の香典にしても問題ないですか?
- 程度にもよりますが、包める金額が少ないから連名で香典を出すというのはNGです。
3,000円でしたら個人で香典を渡すほうが良いでしょう。
- 仲間数人と連名で香典を出すけど、お世話になった人だから個人でも出したいです。ルール違反ですか?
- 重なることを連想させるのでルール違反です。その場合は、連名で包む人たちに確認をとって金額を上乗せするか、連名ではなく個人で香典を渡しましょう。
まとめ
連名で香典を出すときのポイントをまとめます。
- 連名で出す場合の香典の金額は、間柄や年齢、地域風習などで変化する
- 香典を連名で出す際の金額の決め方はあらかじめ合計金額を決めて人数で割る「割り算」か先に一人当たりの金額を決める「足し算」
- 香典の金額の相場を一つの目安にする
香典は特に金銭が絡む部分でもあります。遺族や周囲の人たちに不安を感じさせないように、しっかりとマナーやルールを身につけておきましょう。
特に金額の調整や逆両替は見落としがちなポイント。バタバタしていてできなかった、とならないように覚えておきましょう。
まとめ役などは経験がないと慌ててしまうことも多いかと思いますが、いざという局面で焦らないようにこの記事をお役に立てていただけたらと思います。