みなさんは「法事」と聞くとどんなものを思い浮かべますか?
法事にはたくさんの種類がありますが、代表的なものだと「四十九日」を思い浮かべる人が多いと思います。それ以外の法事はあまり馴染みがない。という方も少なくありません。
というのも、法事や法要は菩提寺(ぼだいじ)や宗教・宗派の違いによっても、執り行われる回数や時期が異なることがあるからです。
この記事では、決まった菩提寺がない方など、一般的な法事の決まりや仏教の中で多い法事についてご紹介いたします。
大切な法事の日程を忘れないために日程を表にしておこう
法事は故人様やご先祖様を偲ぶ大切な行事ですが、回数が重なるごとにどうしても忘れてしまうことが多くなります。そのため、故人様の命日からきちんと法事の日程を表にしてまとめておくようにしましょう。
忌日法要と年忌法要
忌日法要とは忌日から7日ごとに行う法要のことを言い、年忌法要は命日から1年ごとに行う法要のことを言います。
現代の一般的な忌日法要は四十九日だけなので、忘れてしまうこともほとんどありません。また、繰上げ法要と呼ばれる方法で、初七日をお葬式と同じ日に行うなど、ご遺族や参列者の負担を減らす方法で行われることも多くなっています。
一方、年忌法要の場合は毎年ではなく特定との年ごとに行われるので、忘れてしまうことも・・・。
年忌法要は最大で100年(百回忌)まであり、全て行うことはほとんどありませんが、主要な法要だけを行う場合でも三十三回忌まであります。
そのため、不安なく年忌法要を行うためには、あらかじめスケジュール表にまとめておくことが大切です。
計算ツールなどで計算した表を保存しておく
最近は大切な法要の日程を忘れないように、故人の享年と名前を入力することで、法要の一覧を作成できるツールがあります。計算ツールを利用すると分かりやすく、忘れ防止に繋がり便利です。
→忌日・年忌法要計算ツールはこちら ※外部サイトに移動します
ただし、あくまでも機械的に計算したツールなので、計算されたピッタリの日にちに行うのでなく、施主や参列者の予定、僧侶の手配などを考慮したうえで、法要の手配をするようにしましょう。
忌日法要の種類・一覧
忌日とは、故人の亡くなった日のこと(命日)で、仏教ではこの日を基準にして節目ごとに法要を行うこととされ、これらの法要を「忌日法要」といいます。
法要名 | 日程(忌日も含めて) |
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初七日(しょなのか) | 7日目 |
二七日(ふたなのか) | 14日目 |
三七日(みなのか) | 21日目 |
四七日(よなのか) | 28日目 |
五七日(いつなのか) もしくは三十五日(さんじゅうごにち) | 35日目 |
六七日(むなのか) | 42日目 |
七七日(なななのか) もしくは四十九日(しじゅうくにち) | 49日目 |
百箇日(ひゃっかにち) | 100日目 |
故人が逝去した日から数えて7日目を初七日法要といい、その後も7日ごとの周期で合計7回。
また、初七日法要は家族や身内が改めて集まることの難しさに配慮し、葬儀当日に前倒しで行われるケースが多々あり、これを「繰り上げ初七日」といいます。
現代では7回の忌日法要をきっちり全て行う人は稀です。多くの人は、葬儀と合わせて初七日法要を済ませ、四十九日法要だけを行います。
仏教では、人は死後生前の行いにより裁きを受ける日が7日ごとに7回あり、7回目の裁きのとき(四十九日目)に故人の魂の行き先が決まるといわれています。(輪廻転生)
そのため、残された家族は故人の魂が無事に極楽浄土へ行けるよう、裁きのある7日ごとに法要を行います。
初七日(しょなのか)
概要 | 僧侶や親戚、知人などを集めて行う供養。最近ではお葬式当日に行う場合も多い(繰上げ初七日) |
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日程 | 忌日を含めて7日目 |
法事内容 | 読経・焼香・喪主挨拶・会食 |
初七日は故人様が亡くなった日を1日目と数え、7日目に行う法要です。
最近ではご遺体の保存環境も良くなっていることで、亡くなられてから葬儀までの時間が長くなっていることもあり、初七日をお葬式を一緒に行う繰上げ初七日が主流になっています。
初七日では故人様が三途の川に着く頃と言われています。ここでは秦広王(しんこうおう)、いわゆる不動明王(ふどうみょうおう)によって生前の殺生について調べられ、生前の行いを全て閻魔帳に記帳されると言われています。
二七日(ふたなのか)
概要 | 遺族中心。省略されることが多い |
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日程 | 忌日を含めて14日目 |
法事内容 | 果物などのお供え物をし、故人の冥福を祈る |
二七日は故人様が亡くなられてから14日目に行われる法要。
故人様が三途の川を渡り、初江王(しょこうおう)に生前の盗みについて調べられる時と言われています。初江王というのは、皆さんも良く耳にしたことのあるお釈迦様のことです。
三途の川を渡るときには、奪衣婆(だつえば)と呼ばれる鬼に衣服を剥ぎ取られると言われ、故人様が衣服を取られないように、お葬式の前に着物などを左前にして着せるようにします。
三七日(みなのか)
概要 | 遺族中心。省略されることが多い |
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日程 | 忌日を含めて21日目 |
法事内容 | 果物などのお供え物をし、故人の冥福を祈る |
二七日~六七日までは法事の内容としてはほとんど変わりなく、三七日についても省略されることがほとんどです。
ここで故人様は、宗帝王(そうていおう)に生前の不貞について調べられ、もし罪があった場合はその罪を悔い改める機会とも言われています。
四七日(よなのか)
概要 | 遺族中心。省略されることが多い |
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日程 | 忌日を含めて28日目 |
法事内容 | 果物などのお供え物をし、故人の冥福を祈る |
四七日で故人様は五官王(ごかんおう)に嘘をついたことがあるかどうかを調べられ、その罪の重さを見極められると言われています。
五七日(いつなのか)
概要 | 遺族中心。省略されることが多い |
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日程 | 忌日を含めて35日目 |
法事内容 | 果物などのお供え物をし、故人の冥福を祈る |
五七日では、ご存じのかたも多い「閻魔大王(えんまだいおう)」によって、六道のどこに輪廻転生するかが決定されます。
閻魔大王はここまでの閻魔帳に記入されてきた内容と、嘘をごまかす道具(浄玻璃鏡)を使って審判を下すと言われています。
六七日(むなのか)
概要 | 遺族中心。省略されることが多い |
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日程 | 忌日を含めて42日目 |
法事内容 | 果物などのお供え物をし、故人の冥福を祈る |
六七日では閻魔大王によって決められた六道をもとに、変成王(へんじょうおう)によって生まれ変わる条件が決められるとされています。変成王とは、聞き慣れた言い方をすると弥勒菩薩の事。
もし閻魔大王によって人間に生まれ変わると決められたとするのなら、弥勒菩薩によってどこの国に生まれ変わるかが決められると言われています。
七七日(なななのか)・四十九日
概要 | 遺族・親族・知人・友人・僧侶が参列する。忌明け法要。納骨も行われる。 |
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日程 | 忌日を含めて49日目 |
法事内容 | 読経・焼香・会食が行われる |
四十九日の忌明けのことを「満中陰」と呼びます。
主に西日本を中心に使われている言葉なので聞き慣れない方も多いようですが、命日から49日目の忌明けの日を迎えたことを意味する仏教の言葉です。
この四十九日の時、故人様は生まれ変わりの最終決定を泰山王(たいざんおう)によってくだされます。次の生まれ変わりの性別や寿命などが決められると言われているので、故人様に応援を送るために家族や親戚が多く集まる法事が行われます。
また、四十九日までは忌明けをしていないため、遺族は行動を慎み、静かな生活を送ることが望ましいとされています。
以下では、四十九日までにしてはいけないことをまとめました。
- 結婚式
- お宮参り
- 七五三
- お中元やお歳暮
- 年始の挨拶
- 正月のお祝い
- 神社の参拝
- 慶事の出席
- 旅行
- 新築の購入、引っ越し
- 飲み会の参加
- 大きな買い物
四十九日までにしてはいけないことはありますが、現代では個々の解釈が分かれている部分もあるのが正直なところです。
大切なのは個人を悼む気持ちと周りの配慮ですから、周囲に気を配りながら四十九日を過ごすよう心がけましょう。
百箇日(ひゃっかにち)
概要 | 遺族中心。省略されることが多い |
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日程 | 忌日を含めて100日目 |
法事内容 | 読経・焼香・会食が行われる |
百箇日はまたの名を「卒哭忌」(そっこくき)といいます。「卒」は卒業、「哭」は声を上げて泣き叫ぶ、つまり「悲しんで泣くのを卒業する」という意味をもちます。
百箇日法要をもって、初七日から続いた忌日法要は終わり、これ以降は一周忌、三周忌など節目の年に執り行う年忌法要に移ります。
故人様の旅は四十九日までに終わるのが基本ですが、もし四十九日までに最終決断が下されなかった場合に、観音菩薩によってこの百箇日で追加の審理が行われると言われています。
主な忌日法要は「初七日」「四十九日」「百箇日」
一般的に重要とされている主な忌日法要は、「初七日」「四十九日」「百箇日」とされていて、そのほかの忌日法要は省略されることがほとんど。さらに現代では忙しい人が多いため、葬儀の同日に初七日の法要を行う「繰り上げ法要」が一般的です。
お葬式の形が多様化している中、すべての法要を正しく行う必要はなく、家族や親族の負担などを考えて、それぞれの形で行うようにしましょう。
年忌法要の種類・一覧
年忌法要とは、百箇日を過ぎ、一周忌から続く年単位での法要のこと。
一周忌の次は、三回忌以降末尾に「3」と「7」のつく回忌に法要が行われます。百箇日法要を行うまでは、亡くなった日を1日として捉え、満1年経つと一周忌を行います。
ここで間違えやすいのが、三回忌以降の年の数え方です。
三回忌からは数え年で行いますので、命日から満2年目で行い、七回忌は満6年目で行います。つまり、三回忌以降は「〇回忌」に入る数字から1年を引いた年が法要を行う年ということになります。
年忌法要の名称と時期は以下のとおりです。
一周忌 | 満1年目(死亡した翌年) |
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三回忌 | 満2年目 |
七回忌 | 満6年目 |
十三回忌 | 満12年目 |
十七回忌 | 満16年目 |
二十三回忌 | 満22年目 |
二十五回忌 | 満24年目 |
二十七回忌 | 満26年目 |
三十三回忌 | 満32年目 |
三十七回忌 | 満36年目 |
四十三回忌 | 満42年目 |
四十七回忌 | 満46年目 |
五十回忌 | 満49年目 |
百回忌 | 満99年目 |
年忌法要は、故人を思い出し、故人の供養を行うことに繋がりますので、まごころを込めた心の供養が中心になることで、本来の意味を達せられたといえるでしょう。
一周忌
概要 | 遺族・親族・知人・友人・僧侶が参列 |
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日程 | 1年後の忌日(命日)もしくはその前後の週末など |
法事内容 | 読経・焼香・会食を行う |
一周忌法要は、故人が亡くなってから1年目の命日に行われる法要で、年忌法要の中でもっとも大切とされています。理想は命日に行う事ですが、仕事や僧侶の手配などのスケジュールの関係もあるため、その前の週の土日などに行われることが多くなっています。
一周忌と一回忌の違いについて
一周忌と一回忌は混同されやすいのですが、「忌」=「忌日」=「命日」という意味で、以下のように説明できます。
- 一回忌:故人が亡くなった命日のこと
- 一周忌:故人が亡くなった翌年に行われる法要のこと
したがって、一周忌は二回忌ともいえます。
三回忌
概要 | 遺族・親族・知人・友人・僧侶が参列 |
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日程 | 2年後の忌日(命日)もしくはその前後の週末など |
法事内容 | 読経・焼香・会食を行う |
故人が亡くなった年の翌々年に行う追善供養です。
法事の内容としては1周忌と同じか少し規模を縮小して行うことがほとんどです。
七回忌
概要 | 遺族中心 |
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日程 | 6年後の忌日(命日)もしくはその前後の週末など |
法事内容 | 読経のみ(法要) |
一般的に、七回忌の頃から法要の規模を縮小していきます。
法事のように会食などもせず、読経のみ(法要のみ)で済ませる場合がほとんです。
十三回忌〜二十三回忌
概要 | 遺族中心。省略されることが多い。 |
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日程 | 12,16,22,24年後の忌日(命日)もしくはその前後の週末など |
法事内容 | 読経のみ(法要) |
僧侶に読経だけしてもらう(法要)だけを行うことがほとんどで、最近では法要自体も省略されることが多くなっています。
二十五回忌
概要 | 遺族中心 |
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日程 | 24年後の忌日(命日)もしくはその前後の週末など |
法事内容 | 読経のみ(法要) |
25回忌は、その前後にあたる23回忌と27回忌の代わりに行うものです。25回忌を行う場合、23回忌や27回忌を行う必要はありません。
二十七回忌
概要 | 遺族中心 |
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日程 | 26年後の忌日(命日)もしくはその前後の週末など |
法事内容 | 読経のみ(法要) |
僧侶に読経だけしてもらう(法要)だけを行うことがほとんどで、最近では法要自体も省略されることが多くなっています。
また、二十三回忌を行なった場合は二十七回忌は行う必要がありません。
三十三回忌(弔い上げ)
概要 | 遺族・親族・知人・友人・僧侶が参列 |
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日程 | 32年後の忌日(命日)もしくはその前後の週末など |
法事内容 | 読経・焼香・会食を行う) |
故人が亡くなられてから32年後に行われる法要が三十三回忌です。
別称清浄本然忌(しょうじょうほんねんき)といい、故人が清浄な自然本来の姿へと帰っていくという意味合いがあります。
一般的には三十三回忌を「弔い上げ」として、年忌法要を終了します。弔い上げとは、年忌法要を最後をさす法要のことです。
三十七回忌〜百回忌
概要 | 遺族中心。省略されることが多い |
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日程 | 36,42,46,49,99年後の忌日(命日)もしくはその前後の週末など |
法事内容 | 読経のみ(法要) |
三十三回忌で弔い上げをしている場合、三十七回忌以降の法事・法要を行うことはなく、現在ではこれらの法要が行われることはほとんどありません。
地方によっては、三十三回忌ではなく五十回忌を弔い上げとしている地方もありますが、三十年前後で世代の交代が行われるので、三十三回忌までに弔い上げを行うのが現実的と言えます。
法事・法要はどこまでやる?百回忌までは続けられない!
近年では、法事の回数を減らす傾向が強くみられるようになってきました。
これは、離れて暮らす家族が増えた、昔ほど作法を気にしない時代になっている、携帯の普及により故人に関わりのある人の連絡先が分かりにくくなっているなど、さまざまな理由で親族が定期的に集まることが難しくなってきているためです。
法要を続けることは供養にもなりますが、親族や家族の負担になることもあります。各家庭の事情を汲み取り、故人様はどうしてほしいと思っているのかを大切にしながら行っていくと良いですね。
一般的には多くて三十回忌までがほとんど
年忌法要は、宗派にもよりますが、死亡した年を含めて33年目に行う「三十三回忌」を上げ法事とすることが一般的です。
三十三回忌では故人がようやく清浄な自然に回帰するという意味から、「清浄本然忌」ともいわれます。三十三回忌で弔い上げ後も、五十回忌・百回忌を行う場合もありますが、ほとんど行われません。
法要は必ず何回忌までやらなければいけないという決まりは特になく、いつまで行うかは遺族が自由に決めることができます。特に最近は、簡略化される傾向が強く、三回忌・七回忌までで終わらせることも多くなっています。
回忌以外の法事「お盆」について
忌日法要や年忌法要以外にも「お盆」や「お彼岸」といった法事を行う機会があります。
個人が亡くなってから初めて迎えるお盆のことを「新盆」「初盆」といい、祭壇を用意して華やかに行います。
お盆とは
お盆は、ご先祖様や亡くなった方の霊を自宅にお迎えして一緒に過ごすという供養の一つであり、一方でよく間違えられる「お彼岸」は、こちらから近くまで行ってお招きするという違いがあります。
また、お盆はご先祖様や故人の方を供養する行事で、お盆に法要を行ってご先祖様を大切に受け入れる家庭も多くあります。
「新盆」「初盆」について
人が亡くなってから四十九日の忌明けを過ぎ、初めて迎えるお盆のことを「新盆(にいぼん)」または「初盆(はつぼん)」と呼びます。
お盆というのは亡くなった人が年に1度家族のもとに帰ってくる人認識されていて、故人の供養をするうえで大切な行事の一つです。
法要についてのよくあるご質問
- 法事と法要の違いは?
- 法要は法事の中で行われる「読経」などの儀式自体のことを指し、法事とは会食なども含めた行事全体のことを指します。
- 法事の目的はなに?
- 法事・法要の目的は、故人があの世に安心して行ってもらうために行われ、故人やご先祖様に対して感謝の意も表します。
- 法事当日の流れは?
- 法事当日は①住職の読経→②参列者による焼香→③住職の法話→⓸墓参り→⑤施主の挨拶→⑥会食 の流れが一般的です。
- 法事を避けた方がいい日はある?
- 法事全般に関して、特に気にする必要はありません。参列者の方が参列しやすい日程や、僧侶の手配などができる日程で調整をしましょう。
まとめ
法事や法要は、親族がいつも近くに暮らしていた時代の風習でもあるため、現代において全ての法要を行うのは容易なことではありません。
故人様を思う気持ちを忘れず、故人様が生前どのようにして欲しいと願っていたのかなどを考慮しながら、どこまで行うかを決めるようにしましょう。
- 大切な法要の日程は計算ツールを利用し、忘れないように把握しておく
- 一般的に重要とされている主な忌日法要は「初七日」「四十九日」「百箇日」で、その他の忌日法要は省略されることが多い
- 年忌法要とは、百箇日を過ぎ一周忌から続く年単位での法要のこと
- 弔い上げとは、亡くなった方に向けて開催する年忌法要を全て終了する行事のこと
- 三十三回忌で弔い上げ後も、五十回忌・百回忌を行う場合もあるがほとんど行われない
- お盆は、ご先祖様や亡くなった方の霊を自宅にお迎えして一緒に過ごすという供養の1つ
- 人が亡くなってから四十九日の忌明けを過ぎ、初めて迎えるお盆のことを「新盆」または「初盆」と呼ぶ
悼む気持ちを大切にして、ご家族の事情に合った無理のない弔い方で、催すことが大切ですね。