あまり知られていない社会人の最低限のマナー「袱紗」
就職活動や入社式の前には、スーツを新しく買うことが多いと思いますが、袱紗などの冠婚葬祭に使うものを一緒に購入される方は少ないようです。
新社会人や20代であれば、礼服ではなくブラックスーツなどの簡易的なものでも構いませんが、できれば袱紗を用意するなどのちょっとした気遣いができるといいですよね。
今回の記事ではあまり馴染みのない方でも、自分に適した袱紗が簡単に選べるように「袱紗の選び方」について解説していきます。
袱紗を初めて購入される方は、「袱紗(ふくさ)ってどこに売ってるの?慶事でも弔事でも使えるものを用意しておこう」も併せてご覧ください。
【早見表】袱紗選びはこれだけ見ればOK
面倒なことはいらないから、とにかく今自分がどれを買えばいいのか知りたい!という方は下の早見表をご覧ください。
※早見表では袱紗の柄は無地であることを前提としています。
年代 | 袱紗を1枚だけ持つ場合 | 弔事・慶事で使い分ける場合 |
---|---|---|
20代 | 紺か濃紫の金風袱紗 | 弔事は寒色系、慶事は暖色系の金風袱紗 |
30・40代 | 紺か濃紫の金風袱紗 (もしくは台付・爪付袱紗) | 弔事は寒色系、慶事は暖色系の金風袱紗 (もしくは台付・爪付袱紗) |
50代〜 | 濃紫の台付・爪付袱紗 | 弔事は寒色系、慶事は暖色系の台付・爪付袱紗 |
初めて袱紗を買う方は、たくさんの種類がありそう・・・。と不安に感じることもあるかと思いますが、実際には「色」と「形」だけに注意をすれば選ぶ基準はとってもシンプルです。
結婚式など、慶事用の袱紗の場合は、柄や刺繍などのデザイン性に富んだものが多く、選ぶのに悩んでしまうこともあるかと思いますが、初めての袱紗の場合は共用で使える無地の紺(もしくは濃紫)のものを選んでおきましょう。
袱紗(ふくさ)の種類は大きく2つ
袱紗の種類には簡単に使える簡易的な「金封袱紗」と、正式な袱紗に近い「台付(爪付)袱紗」の2種類があります。
どちらのタイプの袱紗を使ってもマナー違反などになることはありませんが、ご自身の年齢や立場などを考えて、どちらのタイプのものを使うのかを考えていただくのがおすすめです。
【使いやすさ重視】挟むタイプの金封袱紗
若年者や新社会人など、初めて袱紗を使う方におすすめなのが「金封袱紗」
この金封袱紗は、袱紗があらかじめ封筒のようになっているので、包み方に悩むことなく香典袋を入れる(挟む)だけで使うことができます。
また、包むときだけではなく、お葬式の受付などで出し方のマナーに戸惑うことも少ないので、お葬式の作法に慣れていない方にとっても、余計な緊張を増やさないのでおすすめです。
【ポピュラー】包むタイプの(爪・台)付き袱紗
最もポピュラーで年齢や立場など関係なく使うことができるのが「台付(爪付)袱紗」
布で包んで使うタイプのものなので、弔事と慶事で包み方(順番)が異なるなど、使い方に少し注意が必要です。台付袱紗の場合は、付属の台の色にも注意しましょう。
また、袱紗を使い慣れていないと、受付で香典を渡す際に戸惑ってしまうことも多いので、初めてこのタイプの袱紗を使うときにはご自宅で香典の渡し方の練習をしておくと安心です。
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※どちらのタイプを使ってもOK
簡易的な金封袱紗は若年者や立場の低い方、台付袱紗は年配者や立場を考える方。といった使い分けはありますが、実際にはどちらの袱紗を使っても問題ありません。
お葬式の受付では、普段慣れないマナーや作法を気にするあまり、極端に緊張してしまい、手元が震えてしまう方もいらっしゃいます。そういう方は無理に台付袱紗を使わずに、使いやすい金封袱紗を使いましょう。
ただし、使うのが面倒だからといって袱紗を使わないのはマナー違反になることもありますので、必ずどちらかの袱紗を使うようにしてください。
袱紗(ふくさ)の色の選び方
袱紗には様々な色のものが用意されていることもありますが、ファッションのように自分の好きな色を選べばいい。というわけではありません。
お葬式などの弔事で使うのか、結婚式などの慶事で使うのかによって、正しい色のものを選択するようにしましょう。
お葬式などの弔事で使える色
弔事では悲しみを表すために、寒色系の色のものを選びます。
緑やうぐいす色などの袱紗はあまり売っている場所も多くはありませんが、スーツ店など礼服を取り扱っているお店や、仏具店などでは取り扱いがあるかもしれません。
もしも弔事で使う袱紗の色に悩んだ時は、最も無難な「紺」を選んでおけば間違いないですね。
結婚式等の慶事で使える色
慶事用の袱紗はお祝い事を盛り上げるために、暖色系の色のものを選びます。
弔事ように比べて色の制限なども少ないため、上記に紹介している色以外にも様々な色のものがあり、同じ赤でも濃淡の違いがあるなど、ファッション的要素も高いのが特徴です。
選び方に特に決まりはありませんが、大切な人のお祝い事なので、ご自身のテンションを上げるためにも気に入った色のものを選ぶようにしましょう。単色ではなく柄や切替のものもいいですね。
共通で使える色
濃紫・紺・灰色は慶弔どちらでも使える共通の色です。
初めて購入する袱紗や、あまり冠婚葬祭の機会がない方であれば、この共通の色の袱紗を一つ用意しておけばどちらでも対応できます。
ただし、柄や刺繍が入っている場合、弔事で使えない場面もあるので、共通で使用する場合は無地のものを選ぶようにしましょう。
袱紗(ふくさ)の柄や刺繍は何でもいいの?
スーツ店や仏具店で袱紗を購入する場合、あまり柄や刺繍が入っているものを見かけることもありませんが、ECサイトなどのネット通販で購入しようとすると、たくさんの柄やデザインのものがあります。
自分好みで可愛いもの、かっこいいものもたくさん出てくると思いますが、袱紗は相手に対して礼儀を尽くすためのものですので、TPOに配慮して選ぶようにしましょう。
弔事に使える刺繍
まず、基本的には弔事の時は刺繍のない無地のものを使うのが無難です。
もし刺繍や柄が入ったものを使う場合には、故人様・ご遺族(喪主)の信仰している宗教・宗派に考慮したものを選ぶようにしてください。
宗教 | 柄 |
---|---|
仏教 | ハスの花、菊の花 |
神道 | 無地 |
キリスト教 | 十字架、ユリの花 |
無宗教、共通 | 無地 |
慶事に使える刺繍
慶事はお祝い事ですので、「鶴」「亀」「松竹梅」「鳳凰」などの縁起の良い柄のものを使うことができます。
最近ではレース柄のものもあり、女性に人気のデザイン物も多く、一つのファッションとして楽しむことも大切です。
ただし、あくまでも主役は新郎新婦ですので、あまり派手なものになりすぎないように、ワンポイントの刺繍など少し控えめなものを選んでおくといいかもしれません。
袱紗選びのよくある質問
- 香典の金額によって袱紗は変える必要があるの?
- 基本的には、袱紗を変える必要はありません。ただし、香典の金額が1万円以上の場合は、ご遺族側(列席者側)に近い立ち位置になる場合が多いので、金封袱紗よりも台付袱紗の方が適していることもあります。
- 初めて使う袱紗はどうやって選べばいいですか?
- 初めての袱紗の場合は、心配なく使える金封袱紗を選ぶようにしましょう。また、慶弔どっちも使うことができる無地の「紺色」「濃紫」がおすすめです。袱紗の使い方に慣れてきたり、年齢とともに台付袱紗に変えたり、慶弔別で用意するようにしましょう。
まとめ
今回は袱紗の選び方について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
若年者を中心に袱紗を使わない方も増えてきていますが、相手への礼儀を尽くすという意味でも、袱紗はとても大切なものです。
周りの同世代の人が使っていないと、自分だけ使うのが恥ずかしいと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、そういう時は金封袱紗などの簡易的なものからスタートしてみてくださいね。
- 初めての袱紗は「無地」「紺色(濃紫)」「金封袱紗」がおすすめ←慶弔共通で使えます。
- 慶弔で使い分けるときは「色」と「柄」に注意
- 無理に台付袱紗を使わず、緊張しやすい人は金封袱紗でOK