社会人になったばかりの方や、初めての冠婚葬祭を経験する方は「袱紗(ふくさ)」という言葉を初めて聞いた方も多いと思います。
最近では使われる機会も少なくなってきている袱紗ですが、大切な香典やご祝儀を汚さずに持ち歩くにはとても大切なもの。
この記事では、袱紗本来の意味や使い方など、袱紗についてご紹介していきます。使うも使わないも人それぞれですが、袱紗の意味や使い方を知っておくことは大切です。
袱紗(ふくさ)とは
袱紗(ふくさ)とは、お葬式などの弔事、結婚式などの慶事の両方で使われる、お金などの大切なものを包む布のこと。
弔事では香典を包んだ香典袋を持参する際に、汚れや折れがつかないように、袱紗に包んで持参します。
「参列するまでに汚れることはないし、面倒だから」と使わない方も増えていますが、汚れ防止という意味だけではなく、袱紗に包むことで相手に対して「礼儀を尽くす」という意味もあるので、簡易的なものであっても使うようにしましょう。
男性でもふくさは使うのか
男性の場合、袱紗は女性が使うものと考えている人も多いようですが、袱紗は男女問わず使うことが望ましいもの。年齢や性別に関係なく、場面に適した服さを使うようにしましょう。
現代では、袱紗がなくても特にマナー違反と感じない人の方が多くなっていますが、さまざまな年齢の方が集まるお葬式など、最低限のマナーとして袱紗を使っておいた方がいい場面も多くあります。
特に仕事関係の方の弔事では、むしろ男性の方が袱紗を使うべきとも言えるかもしれませんね。
【早見表】ふくさの選び方
袱紗には「包むタイプ」と「挟むタイプ」の2種類のタイプがあり、色や柄の種類も豊富に販売されています。
ファッションのように自由に楽しめるわけではなく、ある程度のマナーがありますので、最低限のマナーを押さえて色や柄を楽しむようにしましょう。
初めての袱紗なら使いやすさを重視した挟むタイプがおすすめ
袱紗のタイプ | 向いている人 |
---|---|
包むタイプ(台付・爪付) | 袱紗の使い方に慣れている、40代以上、立場のある人(会社で役職があるなど) |
挟むタイプ(金封・封筒型) | 初めて袱紗を使う人、20代、30代 |
包むタイプの袱紗は、昔から使われている形状で、格式の高い行事などでも使えるので、一枚持っていればどのような場面でも使う事ができますし、年齢や立場を問わず使えます。
ただし、包むタイプは包み方はもちろんのこと、受付で渡す時に手間取ってしまうことも多いため、初めて袱紗を使うには少しハードルが高く感じる方も多いでしょう。
初めて使う場合や、若い世代などでは、無理して包むタイプを使うのではなく、略式的に簡単に使える挟むタイプのものを使うようにしましょう。
紫や紺の無地のものならシーンを選ばず使える
シーン | 色 | 柄 |
---|---|---|
弔事 | 寒色系、紫、紺、グレー | 宗教にあった柄(蓮、百合など)、無地 |
慶事 | 暖色系、紫、紺、グレー | 鶴、亀、鳳凰、無地 |
若い世代の方にもおしゃれに使ってもらうために、袱紗にも様々な色や柄のものが販売されています。
結婚式などの慶事であれば、ある程度自由に選ぶ事ができますが、弔事では色はもちろんのこと、故人の宗教によって柄にも注意が必要です。
袱紗の色の選び方
袱紗の色選びは、弔事・慶事によって異なり、どちらも共通して使える紫や紺などの色もあります。初めて購入する場合や、冠婚葬祭の機会が少ない間は共通で使える色のものを一つ用意しておきましょう。
袱紗の柄の選び方
宗教 | 柄 |
---|---|
仏教 | ハスの花、菊の花 |
神道 | 無地 |
キリスト教 | 十字架、ユリの花 |
無宗教、共通 | 無地 |
袱紗の柄は慶事ではあまり気にする必要はありませんが、お葬式やお通夜などの弔事では、故人の宗教によって使えるものと使えないものがあるので注意しましょう。
また、弔事では刺繍が入っているものでもワンポイントものや、うっすらと入っているものを選び、見た目が派手になるものは控えるようにしてください。
ふくさの使い方
袱紗は弔事と慶事で包み方が変わるため、共通の色のものでも、包み方を使い分ける必要があります。また、弔事用の色のものでも、慶事の包み方をしてしまうとマナー違反になることもあるので、包み方もしっかりと覚えておきましょう。
挟むタイプの使い方
挟むタイプの袱紗の場合、包むというほどの工程はありませんが、弔事の基本となる「左びらき」になるように気をつけましょう。
弔事では袱紗は左開きになるように使うので、香典を入れる前に袱紗が左開きになるように置きます。
自分から見て、香典の表書きや名前が正面で読めるように左から袱紗に入れます。(香典の上下が逆になると右開きになるので注意)
包むタイプの使い方
包むタイプの袱紗の場合も、挟むタイプと同様に「左びらき」になるように意識しておくだけで、マナー違反のない正しい包み方ができるようになります。
慶事の場合は逆に「右びらき」になるように包みましょう。
お葬式などの弔事では、袱紗が左開きになるように香典袋を包むため、爪が付いている場合は爪が左側になるように袱紗を開きます。もし爪がついていない場合は台が右側になるようにします。
※爪も台もない場合は袱紗が菱形になるような角度で、机の上などに開いてください
袱紗も香典袋と同じで、上から下に重なるように包みます。
爪付きの袱紗の場合は、留め具(爪)がついているのでしっかりと留めて中の香典が落ちないようにします。
留め具がついていない袱紗や、ハンカチ・風呂敷で代用する場合は留めずに持参するか、紐などで軽く留めて完成です。
受付で香典を渡すときは
袱紗に包んだ香典は、香典を渡す時のマナーにも気をつける必要があります。
よくやりがちなのが、受付を待っている間に袱紗から出して待っていること・・・。袱紗で包むというのは「相手への礼儀を尽くす」という意味があるので、しっかりと袱紗で包んできたことがわかるように、渡す人の前で袱紗から出すようにしましょう。
- 袱紗が左向きに開けられるように右手の上に乗せる
- 左手で袱紗を順番に開き、開いた部分は垂らしたままにせず袱紗の下に入るように折り返す
- 袱紗を出したら表書き(名前)が相手側に向くように反時計回りで向きを変えて渡す
家族葬や自宅への弔問の際、受付ではなくご遺族に直接渡す場合も、同じ手順でお渡しします。
ふくさはどこで買えるの?
袱紗は普段使いするものではないため、いざ購入しようと思っても「どこで売ってるの?」と疑問に思われる方も多いと思います。
ネットでなんでも買える時代なので、袱紗もECサイトで買う事ができますが、配送が間に合わないなどのトラブルもありますので、急ぎで必要な場合には実店舗に買いに行くようにしましょう。
時間があるならECサイトや専門店
ECサイトでは、Amazonや楽天市場などのモール系はもちろんのこと、スーツ専門店、仏具専門店のオンラインショップでも購入する事ができます。
実店舗にはないような珍しい柄や、生地のものなどもあるので、こだわりたい人や時間がある方はオンラインショップでゆっくり探すのもいいですね。
手軽なのはスーツ店
時間がない場合や、最も手軽に買う事ができるのはスーツ専門店。日本全国にある「洋服の青山」や「AOKI」など、スーツを専門に扱っている量販店でも、お葬式に必要なものを一式購入する事ができます。
礼服を持っていない方などであれば、ブラックスーツや礼服を購入するときに、一緒に袱紗や数珠なども揃えておきましょう。
急な訃報で袱紗が用意できないときは
訃報は突然くる事が多く、場合によっては仕事帰りや出張帰りに直接参列する必要があることも。
近くに袱紗を購入できる場所があればいいのですが、香典袋のようにどこのコンビニでもおいてある。というものではないので、急に用意するのが難しい場面もあります。
そのような時は、大きめのハンカチなどを袱紗の代用として使う事ができます。
大きめのハンカチを持っている場合は手持ちのものでも代用できますが、使用済みで汚れてしまっている場合などは、近くのコンビニや100円均などで新しいものを購入しましょう。
薄手の無地のもので「紺」「白」などのハンカチであれば問題なく代用する事ができます。
代用する方法は包むタイプの袱紗と同じように包むだけ。タオル地のハンカチだと包む事が難しいので、薄手のハンカチを選ぶようにしましょ。
袱紗に関するよくある質問
- 同僚に袱紗について相談したら、袱紗なんて今時使わなくてもいいでしょ。と言われました・・・。
- 袱紗をはじめ、お葬式に関するマナーなどは時代と共に変わっています。最近では袱紗を使わなくてもマナー違反に感じる方も少なくなってきていますが、使っていて損はないマナーの一つです。包むタイプのものではなく、挟むタイプのものであれば「袱紗感」も強くないので、見た目的にも使いやすいと思います。
- 挟むタイプの袱紗は若者しか使えませんか?
- 挟むタイプの袱紗は、まだ略式的な意味合いが強いため、年齢や社会的な立場が上がるのに合わせて、包むタイプの袱紗に切り替えていただくことをおすすめします。ですが、特に年齢制限などがあるわけではないので、年齢・性別問わずに使っていただいて問題ありません。
- 手持ちのハンカチで代用してもいいですか?
- 清潔な状態であれば、手持ちのハンカチでも代用していただくことはできます。ただ、弔問などをするのは仕事終わりの時間になることがほとんどだと思いますので、一日使った後のハンカチで代用するのはさけ流ようにしましょう。
まとめ
時代の流れと共に使う人も少なくなってきている袱紗。特に若い世代では使わない人の方が多い場面のありますよね。
時代の変化に合わせて、お葬式のマナーも変化していくものですので、袱紗も無理に使う必要はないのかもしれませんが、使い方や意味などは知っておいて損はありません。
周りが使っていないから自分も使わない。ではなく、袱紗の正しい意味合いや使い方を学んだうえで使うかどうかを考えてみてください。
- 慣れるまでは簡単に使える「挟むタイプ」の袱紗でOK
- 色や柄にも注意
- 弔事は左びらき、慶事は右びらき
- 香典は渡す人の目の前で袱紗から出す
袱紗を使うときは、是非上記のポイント守って使ってみてください。